「東電病院を東電本社に」の仰天株主提案

売却は困難


 入札による売却を目指しているものの、病院としての継続を臨んでいることもあり、制約が多い。こちらは路線価などを参考にすれば数十億円ほどの価値があると見られる。敷地面積は5609平方メートル、地下2階、地上9階建てで、延べ床面積は1万6180平方メートル。

 ただ、こちらは赤字垂れ流しが明らか。

 診療科は9つ(内科、神経科、外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科)あるものの、外来患者数が1日あたり316人と、医師の数は17.09人のため、前出の医師は「医師一人あたりが診察する人数としては少ない」という。

 さらに1台10億円、1人1回あたりの利用料10万円のがんの検査機器「PET」を備えている。通常は、国立病院などの大規模な病院しか経済的に導入は難しいが、社員しか利用できない職域病院にあること自体が不自然で、採算には合わないだろう。

 慶應病院に隣接する上に、慶応義塾大学関連病院会に入っていることもあり、「第二慶應病院」となぞらえる人もいる。ただ、他の医療法人が買い取れば慶應病院は「ライバル」にもなりうる。数十億円を払ってまで買いたい医療法人が現れるかどうかも難しそうだ。

 株主提案では「東電病院はそのままの形で売却することは、立地条件から困難」として、本店利用を促すが、東電の取締役会は「本店の所在地を変更することは考えておりません」としている。

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