「東京大油田計画」に挑むユーズ

 「東京を油田にしよう」──。そうした壮大な夢の実現を事業目標に掲げているのが、墨田区八広に本社を構える「ユーズ」だ。

社長の父親はバイオディーゼル燃料開発の有名人


ユーズの染谷ゆみ社長(中央)
 社長の染谷ゆみさんの実家は、祖父の代からこの地で廃食油のリサイクル工場を営む染谷商店。「各家庭から出る廃食油を回収して、バイオディーゼル燃料に再生することで、循環型社会への移行を推進していきたい」との思いを募らせ、染谷社長は1997年に染谷商店から分離・独立する形でユーズを設立した。

 実は染谷商店は国内のバイオディーゼル燃料の開発でパイオニア的な存在なのだ。92年の年末に、米国で大豆から作ったバイオディーゼル燃料を利用しているとの新聞記事を読んだ父親の武男さんと一緒に廃食油で同じように再生ができないか実験を開始。翌年6月には実験プラントによる試作品が完成し、バイオディーゼル燃料を100%使用したトラックでの走行実験にも成功する。そうしたことが新聞やテレビで報道され、染谷商店の名前が全国に知れ渡るようになった。

 「当社のBDF(Bio Diesel Fuel)もVDF(Vegetable Diesel Fuel)も同じバイオディーゼル燃料で、両方とも染谷商店が商標登録を行っています。ただ『植物の燃料』といったほうが私たちの思いを表しており、商品名としてVDFを用いることにしました。またVDFの再生プラントの技術でいくつもの特許を取得しています」と染谷社長は語る。

 いま国内で廃棄されている廃食油は年間約40万㌧。このうち約25万㌧は飲食店や食品関連企業から回収され、染谷商店をはじめとするリサイクル工場で肥料や塗料などに再生されてきた。しかし、家庭から出る残りの15万㌧の廃食油は、固めてゴミとして捨てられることが大半だった。そして、そのVDFへの再生事業にいち早く取り組んだのが染谷社長で、2007年からは「TOKYO油田2017」のプロジェクトを始動させている。

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