先の見えない原発再稼働、2期連続の巨額赤字、値上げへの批判――。逆風の中で26日に開かれた関西電力(本店・大阪市北区)の株主総会だったが、開催場所が神戸市中央区のワールド記念ホールで、本拠の大阪市から遠かったことと雨の影響から、出席者は1269人と昨年の約3分の1に激減した。ボクシングのタイトルマッチも行われる自慢のアリーナは寂しい状態だった。もっとも、株主の追及は厳しく、「配当ゼロで、取締役が留任とは無責任もはなはだしい」「監査役がイエスマンばかり」などとの声が相次いだ。
謎の神戸開催
JR大阪駅から三宮駅まで新快速で22分。そこから新交通システム「ポートライナー」に乗り換えてさらに10分。階段の上り下りも多く、高齢者には厳しい。こんなロケーションや天候が影響してか、来場者は昨年の3842人から激減。定員をオーバーした昨年を踏まえて用意した5400席の座席はガラガラで、空席が目立つ。
どうしてこんな場所で開催したのか。「昨年、大阪・梅田の繁華街にある劇場で開催し、近隣の商店や飲食店から苦情が殺到、後日、謝罪して回るほどだったから」(関電関係者)という。4000人近くが入る場所を大阪市内で探しても見つからず、「ワールド記念ホールしかなかった」(同)と説明する。
おかげで、来場者数が抑えられたというものの、入口前の喧騒は例年通り。拡声器で脱原発を訴える市民グループや警察官、マスコミなどでごった返した。周辺では、神戸製鋼所や伊藤ハムなど、地元企業の総会も開催されていたが、すっかり影に隠れてしまった。
大飯原発3、4号機以外の再稼働のめどが立たず、2013年3月期連結最終赤字は過去最悪の2434億円。とかく批判の多い電気料金値上げ。総会の冒頭、八木誠社長は「お客様に多大なご負担をかけている。深くお詫びします」と陳謝し、役員とともに頭を下げた。
しかし、株主の怒りはおさまるはずもなく、質問と叱責の嵐が幕を開けた。