日本人は貯金の6割を失う

 「日本人は貯金の6割を失う」。

 こんな刺激的な言葉の主は、米著名ヘッジファンドマネージャーのカイル・バス氏だ。週刊文春(6月20日発売号)のインタビューに答えたもので、日本の財政の先行きについて語っている。

 バス氏は、米テキサスでヘッジファンド運用会社ヘイマン・キャピタル・マネージメントの創業者で、過去にはサブプライムローン関連の保険を買い漁って大きな利益を上げた。バス氏については、ゆかしメディアでも過去に何度か取り上げたことがあるが、同社のファンドは、SEC(米証券取引委員会)のファイルなどを確認したところ、日本株を長らく保有した形跡がない。「日本破綻論者」らしいと言えばらしい。

 貯金の6割を失うという意味だが、これは1994年のメキシコで起きた通称「テキーラ危機」を引き合いに出してのものだ。メキシコ政府は直前までデフォルトを否定し続けてきたが、突然、自国通貨のメキシコペソの切り下げを発表したのだった。IMF(国際通貨基金)、米国などから資金援助を募って、翌年には危機はひと段落して乗り切った。しかし、これで通貨価値の6割が棄損したという。

 日本政府に目を移すと、年度あたり40兆円程度の税収に比して債務残高は約1000兆円もある。実に25倍の差となっており、これをバス氏は「浪漫財政のマイルストーン」と称し、さらに日銀の異次元金融緩和政策がスタートしたことで、「あと2年で破綻する」とも言い切った。

 ただちに財政破綻という可能性は低いが、バス氏は一つの対処方法として、多くの資産をスウェーデンクローナやカナダドルなど債務返済能力が高い外貨や外債に振り向けた方が良い、とも述べている。

 もちろん、海外の機関投資家に指摘されるまでもなく、日本国内でも動きは出ている。厚生年金や国民年金の給付財源を管理・運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が発表したポートフォリオの中期計画の変更では、国内債券の保有比率を67%から60%に低下させているのだ。その代わりに外国債券が8%から11%へ、外国株式が9%から12%へとそれぞれ増加している。こうした動きは、今後もより進んでくるだろう。

 また、個人投資家レベルでは、投資助言会社アブラハム・プライベートバンクが提供する「いつかはゆかし」で、海外ヘッジファンドに毎月5万円を積み立てて30年間で1億円を目指す投資が、30~40代のビジネスマンらを中心に広がっている。

 投資をする上では、海外投資という選択肢は常に忘れてはならない時代になった。

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