総会直前、前社長を含む取締役3人を解任した川崎重工業の定時株主総会が26日、神戸市中央区で開かれた。当初の決議事項には、解任された3人を含む取締役の選任案が含まれていたが、その内容を13人から10人にしたと通知し、総会日時を変更したり議決権行使書を再送付するなどをしなかったことに、株主の疑問が集中した。村山滋社長は「混乱を招いたことは誠に申し訳ない」と陳謝したが、予定通りの総会は「全く問題ない」と言い切った。株主が「議案を変更したのに」というたびに、「議案から一部を削除、もしくは撤回しただけ」と繰り返した。「変更」ではなく「削除」と言い切ることが、今回の総会を適法とするカギらしい。
出席者は過去最高の1016人
村山滋社長は「混乱を招いたことは誠に申し訳ない」と陳謝したが、予定通りの総会は「全く問題ない」と言い切った。株主が「議案を変更したのに」というたびに、「議案から一部を削除、もしくは撤回しただけ」と繰り返した。「変更」ではなく「削除」と言い切ることが、今回の総会を適法とするカギらしい。
「いつもはこんなことはないのに」と、毎年出席するという60代株主が驚いていたのは、総会会場に早朝から列ができたこと。「さすが話題企業ですね」。出席者数は1016人と過去最高で、前年から約300人も増えた。あいにくの雨で、同日開催された関西電力やパナソニックの総会出席者が軒並み減少したなかで、出席者数の増加ぶりが目立つ。
議長を務めた村山滋新社長は、冒頭から3人の解任に触れ、陳謝した。ただ「大多数の取締役の意向に反した行動を取るなど、コンプライアンスの見地から取締役として不適格、と判断した」と説明し、解任は企業統治の機能が働いていたからこそだと強調。
13日の臨時取締役会で、三井造船との統合交渉を進めていた長谷川聡前社長と企画担当の副社長、常務を解任、3人は26日付で取締役も退任した。4日付で送付した株主総会招集通知に記載した取締役選任議案には長谷川氏らが含まれていた。このため、その3号議案から、3人の名を削除する「『第 190 期定時株主総会招集ご通知』の一部修正について」を株主に送った。
企業法務に詳しいある弁護士は次のように話す。