ヘッジファンド界の帝王シモンズ氏、節税でIRSと係争中だった

 ここでメダリオンのことに少し触れておかなければならないが、1988年に組成され、最低購入金額は日本円にして約50億円以上。現在では千数百人の投資家がいるが、その多くが従業員や元従業員ら関係者だという。1993年になって新規の募集をすべて停止した。

 年利で20%以上のリターンをたたき出しており、さらにはリーマンショックが発生した2008年には、年利80%という驚異的なリターンを残している。

 メダリオンは、現在は引退しているが、ヘッジファンド界のレジェンドで数学界でも著名な博士であるジェームズ・シモンズ氏が設立したルネサンステクノロジーのファンドだ。運用会社の多くは成功報酬が20%前後なのだが、メダリオンは年間手数料5%、成功報酬40%という高いもので、よほどの自信がうかがえる。

 運用総額はピーク時には100億ドルを超えるまでになった。シモンズ氏の年収が常に業界のトップ10に入るのも当然で、2000億円以上を受け取っていた。

 メダリオンは、ミリセカンドの速度で取引されるHFT(超高速取引)をシステムで自動的に行う。短期売買と長期売買の税率差が出たことがきっかけとなったと見られる。

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