死の直前まで夫を探していた
これだけでも波乱万丈と言えるが、話はまだまだ終わらない。ニナさんは、夫の父親と夫の財産をめぐり8年間にも渡って争いをしているのである。
この争いでは、裁判で2度も敗訴となり、私文書偽装で逮捕までされるのだが、最終審裁判では、なんとこの判決がひっくり返り、5人の裁判官が全員一致で、ニナさんを相続人と認めたのだった。
2度も誘拐にあい、2度も裁判で敗訴した末に、夫の財産を継承。その後、会社を香港で民間一の不動産グループにまでに押し上げ、莫大な財産を残していったニナ・ワンさん。なんとも数奇な人生だ。
実は彼女は、夫が殺害されたことを受け入れず、まだどこかで生きていると信じて、自分の死の直前まで行方を探していたという話もあるそうだ。自身の名を冠したニーナ・タワーは、テディ・タワーに寄り添うように隣り合わせに建っている。
夫と2人で事業を始めた理由も、恵まれない人たちのためにという思いがあったから。莫大な財産が世の中のために使われる事を願っていた、ニナさんの希望がようやく実現することになりそうだ。