世代格差、40代に痛みを強いる流れが加速中

 公的年金の世代間による差、つまり「払い得」か「払い損」が今後はどんどん大きくなっていくことはすでに様々な試算がなされているが、今後は大企業が高齢者雇用延長にともなって、30、40歳代の給与を抑えるという動きが実際に出てきそうだ。

 日経新聞が伝えたところによると、ヤマト運輸が2016年をメドに、40代、50代をはじめとした現役世代の賃金の上昇を抑えることにするという。その目的は、60歳以降の社員の雇用延長する際に賃金を下げずに維持するため、だという。同紙は「40代をはじめとした現役世代には、一定の収入減で痛みを強いる」とも伝えている。

 今後は他の大企業が同様の賃金政策を進めるていく可能性はありそうだ。

 厚生労働省の試算によると、2030年には60歳以上の就労者人口が約210万人増加し最大で約1354万人になるとされている。もちろん、高齢者の雇用維持による税収増も見込まれるという利点もあるが、それだけで公的年金の財源はどれだけ解消されるかまったくわからない。

 もちろん、現在30、40歳代の人が60歳以降になっても、現在のような雇用と賃金が保障されているという意味での恩恵は受けるかもしれない。ただ、2、30年先にそうした制度が維持できているかどうか。年金制度と同じように、取り逃す可能性もないわけではない。

 公的年金の受給開始年齢の引き上げはすでに政府内で議論になっており、現行の65歳から68歳へという流れは出来上がりつつある。現役世代にとっては今後も、自分たちにとって今後も不利になる材料がどんどんと出てくる。
 
 様々なツケが40代以降の若い世代に掛ってくるとなれば、年金作りはもちろん、給与減についての対策に頭を悩ませる人も多いはず。

 最近は新聞の全国紙、週刊誌、月刊誌など紙メディア、さらにはテレビなどでも何かと、50代あたりを対象とした老後の年金についての報道や特集をよく見かけるようになってきた。ただし、定年が近づく50代から始められることは、ディフェンシブなものだったりするため、生活防衛や貯蓄など低リスクな特集が中心だ。いかんせん準備の時間が短いため、失敗は許されず、攻めの対策が取りにくいのは致し方ない。

 だが、30代や40代なら、時間を味方につけてリスクを取りやすい。都内ビジネスマンを中心に、老後対策として 毎月5万円を積み立てて30年間で1億円を貯める「いつかはゆかし」(投資助言会社アブラハムの積立)を始めるなどの動きも加速している。

 いずれにせよ色々な形でツケを払うことが確実視されているが、今から対策を取るならば、心配も取り除くことができるというものだ。40代、膨らむのは腹ばかり、鏡を見て見ぬふりはできるけど、老後の現実からは誰もが目を背けることはできないのだ。

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