8月に入り学校が夏休みとなったことで、日中、子供と過ごす時間が増えている人が多いことだろう。その子供に自分の老後を頼ろうとする親が、上流と下流には少ないが、中流には意外に多いことが、金融広報中央委員会がまとめた「家計の金融行動に関する世論調査」(平成19~24年)で、分かった。
学校にも通わせてやったし、メシも食わせてやった。それに、家にも住まわせてやった。せめて、老後くらいは恩返ししろ。年収750~1000万円で5.5%、年収1000~1200万円で6.1%、がそのように答えているのだ。
逆に、1200万円以上は余裕が生まれるのだろうか、2.0%とかなり低い。また、500万円~750万円の世帯も2%と、子供に期待していない。詳しいデータは次のようになる。
◆老後の生活資金源
金融資産取り崩し 利子配当 不動産収入 子供から援助
・1200万円以上 50.0% 9.2% 16.3% 2.0%
・1000~1200万円未満 39.4% 2.3% 4.5% 6.1%
・750~1000万円未満 37.0% 1.4% 10.3% 5.5%
・500~750万円未満 32.3% 2.5% 6.3% 2.9%
(複数回答)
また、公的年金をどれくらい生活資金源と考えているか(下図参照)というと、収入が上がるほど依存割合は減少するものの、全階層で70%を上回っており、依然として当然もらえるものである、との認識の甘さが見てとることができる。
・1200万円以上 77.6%
・1000~1200万円未満 79.5%
・750~1000万円未満 79.1%
・500~750万円未満 81.5%
しかし現実として公的年金に期待するのは困難だと気がついている30代40代の多くは、「自分のことは自分で」と毎月5万円を積み立てて30年間で1億円を貯める「いつかはゆかし」(投資助言会社アブラハムの積立サポートサービス)を始めるなど、 老後の生活資金源を確保しようとの動きが出ている。
公的年金にプラス自分の子供の援助を頼っていいものかどうか。自分たちの子供の世代は公的年金が維持されているのであれば、負担額もかなり大きくなっていることだろう。その上にまだ子供の援助をアテにするのは、非現実的だ。やはり、子供を当てにせず、自分年金を今から自力で用意する必要がある。「子供に心配をかけない」。そんな親としての気概が問われる時代だ。