「新富裕層vs国家 富をめぐる攻防」で再燃の税論争

税金の使い道に厳しいのは世界共通

 また、番組では世界一の富裕層大国である米国の例も紹介していた。CNBCのジャーナリスト、ロバート・フランク氏がWSJ時代に発表した著書「ザ・ニューリッチ」(邦題)でも語っていたが、レーガン政権、ブッシュ政権時に大幅な富裕層減税が行われたが、雇用や税収増加などのトリクルダウン効果はなかった点にも焦点が当てられた。
 
 エドュアルド・サベリン氏は、グーグルの共同創業者の一人であり、同社の上場によって500億円以上の利益を上げた。しかし、実際には上場の数年前にシンガポールに国籍を移しており、

 米国は税金を取りっぱぐれた。ブラジル生まれで米国移住で米国で教育を受けた。こうした背景もあり、「偉大なアメリカのサクセスストーリーだが、誰が彼を守り、教育してきたのか」と批判した上院議員もいた。

 番組中では、「働きもしない人のために税金を払うなんて耐えられません」という投資家の声が紹介されていたが、この投資家は株取引でいっさい配当をなくしたプエルトリコへの移住を行ったのだ。

 一方で、著名投資家ウォーレン・バフェット氏をはじめとした、富裕層増税を自らに課す「バフェット増税」の例も紹介された。だが、このメンバーの一人であるグーグル幹部も「納得できるように税金を使ってもらいたい」と厳しい監視の目を光らせる所存だ。

 たとえ国や人種が違ったとしても、税金の使い道に対して誰よりも厳しいのが彼らでもある。

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