「社会人としてどうなの」
そもそも一審では、被害者と性交した事実こそ認めたが、合意の上だったと一貫して主張し、時には被害者を中傷することもあった。そうした態度が裁判所から「反省なし」と見られていた。
控訴審に入っての初公判では、控訴した理由について、石田被告は「(被害者に)謝罪し、被害弁償をする気になった」と述べた。質問はされなかったが、髪型はその態度の現れだということなのだろうか。また、反省の意を表した陳述の書面も提出し、慰謝料として400万円の供託金も積んでいる。
それを裏付けようと、やや背中が丸くなっている母親が情状証人として出廷し、我が息子と4回の面談をしたことを明らかにし「(反省は?)しています。(出所後は)実家を継ぎたいと話しています」と終始、伏し目がちに証言した。
しかし、石田被告はなぜ態度を変えたのか、その点については次のように証言している。
「打算的なことで認めたのではありません。公判記録を読んで理解し、改めて(被害者に)謝罪する機会を与えていただこうと控訴しました」
また、一審で争った理由についても 「殴ったり、蹴ったり、首を絞めたり、刃物を突き付けたり、殺すと言ったりしていないので、強姦にはならないという思いがありました」と、不自然ながら証言した。
その点を裁判長から「起訴状に首を絞めたとかナイフを突き付けたとか、書いていないでしょ」などと厳しく突っ込まれた。
石田被告は「申し訳ございませんでした」と、うつむいて小声で返すのがやっとだった。
さらに、事件後に、被害女性の中傷をインターネット上にUPしたことも「そういうことをしたら、どうなるか分かっているんですか。社会人としてそういうことをしていいかどうかも分からないのですか」と叱責される場面もあった。
情状酌量を求める控訴に反省の意図があったかどうかは、わからない。ただ、過去を振り返り、そして今後のことを謙虚に述べ始めた。