「金持ち」の長期投資と「貧乏人」の長期投資のちがい

 長期で投資をすれば負けにくい、あるいは勝利への近道であるということは一つの定石でもある。だが、実は金持ちもそうでない人も等しく「長期投資」を行っている。「投資なんかやっていない」という人でも強制的に参加させられている。それが「公的年金」だ。

 金持ちも貧乏人も等しくみんなが行っている長期投資である公的年金だが、世代が勝敗を分けてしまう。つまり、若い人ほど損をするという性質のものだ。

 7月に放送されたTBS系特番「ニッポンどこへ行く!?」の試算によると、現在43歳である1970年生まれ以降は「年金の払い損」で「赤字」となる。40代の半ばあたりで、損益分岐点ができる模様で、そこから若年世代になるに従って負担額と給付額の差が生じており、現在33歳の1980年生まれは、なんと1480万円も損をする計算だ。まさに世代間格差だ。

生年(現在年齢) 払込額と給付額の差額

1940年(73歳)  +3460万円
1950年(63歳)  +1490万円
1960年(53歳)  +460万円

1970年(43歳)  -560万円
1980年(33歳)  -1480万円
1985年(28歳)  -1840万円
※平均寿命まで生きていると試算した場合

 つまり、公的年金だけの投資をしていれば、負けてしまうことは確実だ。さらに、国の財政再建や社会保障費用などのための消費税増税も将来的に25%が必要という試算も出てきたり、若い世代へのダメージはより一層拡がっていきそうだ。

 そこで、負けが確実の公的年金ではなく、勝ちを狙える長期投資をやる必要がある。長期投資の実践がいかに有益であるかについてだが、富裕層の研究でも知られる作家の本田健氏が著書「普通の人がこうして億万長者になった」の中で、2002年度の全国の高額納税者約1万2000人を対象に行った調査で明らかになっている。

 投資する期間についての調査で、成功者ほどそうでない人に比べて長い時間をかけて投資を行っている(以下参照)。

         10年以上 5~10年 1~5年 1月~1年

年収3000万円以上  19%   22%  40%  15%

年収1000万円未満  6%   11%   32%  33%

 10年以上という長期間で投資する人は、年収3000万円以上の人が、1000万円未満の人に比べて3倍以上となった。 その一方で、1月~1年という短期間では1000万円未満の人が2倍となっている。

 成功者ほど、長期での複利の効果をうまく生かして、現在の地位を築いたということが言えるだろう。いい投資を長期間にわたって続けることが、いかに結果を残しているかはこれで明らかだ。ということで、金持ちの長期投資になる可能性が少しでも高そうな対象を探そうという動きがある。

 30、40歳代の都内勤務のビジネスマンを中心にそのような動きが出ており、その一つとして、毎月5万円を30年間積み立てることで1億円を貯める「いつかはゆかし」(投資助言会社アブラハムの積立サポートサービス)が流行している。すでに、長期投資を専門的に助言するアブラハム・プライベートバンク社の投資助言契約額の合計が746億円(13年6月末時点)に達したという。

 現代の日本では、貧乏になる長期投資を抱えているという厳しい時代だということを認識した上で、より勝てる長期投資先はどこなのか?  ということを模索し、実行しなければいけない時代にある。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる