2020年の五輪開催地決定を前にして、政府がようやく福島第一原発の汚染水対策に乗り出す。東京電力も汚染水の海洋流出を認め、セシウムとストロンチウムの流出量は約30兆ベクレルという途方もない量で、地元の被災地はおろか、東京で働く3、40代の現役世代までなかなか胸中も穏やかではない。そんな折、「遮水壁」の計画を東電が1000億円以上の費用負担を理由に、取りやめていたと、民主党の海江田万里代表が明らかにし、波紋を呼んでいる。
2011年当初の福島第一原発事故処理のロードマップでは、遮水壁は2014度には完成するという計画になっていたという。そして、6月には記者発表まで計画されていたというが、それは幻の計画に終わっていたのだ。
海江田代表は「そのときの東京電力の考え方は、一貫して費用がかかり過ぎると。1000億くらいののことが言われていました。あるいはその1000億をさらに超える金額になるんじゃないだろうかと言われていて、その財源の問題で腰が引けていたことは事実であります」と理由を説明した。
当時は首相補佐官の馬淵澄夫衆院議院を交えて政府と東電が協議を行っていたが、実現させるにはいたらなかった。費用とともに、技術的な懸念も少なからずあったようだ。