ヘッジファンド業界の二大報酬である「運用報酬」「管理手数料」が近年、危機に晒されている。実際に機関投資家から、条件交渉の要請があり、交渉で条件が変わった例が81%もあるという報告も出ている。ただ、その一方では、運用報酬は20%以上の高い方がリターンも良くなるという現象も実際に起きている。
100億円、1000億円単位で投資する年金基金などの機関投資家にとっては、管理手数料1%でも大きな金額に相当する。そのため、ヘッジファンドの主な収益源は、運用の成功報酬とこれまではされていたが、必ずしも運用益が出せないこともあり、現在は管理手数料の重要度が増しているという。そのため解約については以前よりも神経質になっている事情があるのだという。
英ヘッジファンド調査会社プレキンによると、投資家たちの間でここ1年間で改善したものは、運用報酬58%に対して、管理手数料が68%と上回った。高いリターンを叩き出した上での運用報酬であれば良いのだが、毎年のように1.5%~2%と管理手数料を取られるのを、痛手に感じているということになるのだろう。
また、投資家の57%が管理手数料の減額をヘッジファンドに対して要求し、交渉の末に実に81%が成功したそうだ。
米ウォールストリートジャーナルも「Hedge Funds Cut Back on Fees」として、こうした現状に触れており、管理手数料は全ヘッジファンドで505億ドル(約5兆円)に上るとしている。また、債券よりも株式の方が値下げ圧力が強いそうだ。
その一方で、運用報酬は高い方がリターンも良好であるという結果も出ている。