iPhone「5s」「5c」、富裕層との階層分け進む可能性も

 米アップルが10日、スマートフォンiPhone5の新機種「5S」と「5C」を発表した。今回の発表で特徴的だったのは1台99ドル~399ドルまで約4倍の価格差をつけたこと。携帯電話機器はこれまで、ユーザーの経済的事情に差を付けることはなかったが、業界で最も影響力のあるiPhoneだけに今後は、富裕層とそれ以外の住み分けが進んでいくきっかけになる可能性がある。

 今回発表されたiPhoneの機器は、金や銀のボディーの「5S」とプラスチックのボディーの「5C」。


iPhone5s
◆5S
・16ギガ=199ドル
・32ギガ=299ドル
・64ギガ=399ドル


iPhone5c
◆5C
・16ギガ=99ドル
・32ギガ=199ドル

 5Sの399ドルと、5Cの99ドルでは約4倍の価格差となる。

 従来のiPhoneは、今後新興国市場で展開していく上では価格が一つの障害になるとされていこともあり、普及を最優先した価格のものを出す必要があったことは想像に難くない。また一方で、そうした廉価版との区別を明確化するために、5Sは見た目にボディーに高級感を出す必要があったのだろう。

 ただ、富裕層の意識として、それほど携帯電話機器へのこだわりはないと見られる。

 純金融資産1億円以上の富裕層限定プライベートクラブ「YUCASEE(ゆかし)」が過去に行った調査でも、会員の50.4%がスマートフォンを保有と回答するなど保有率は高い。

 だが、1台で数十万円、数百万円などの限定携帯電話モデルもあるにはあるが、日本ではほぼ見かけることはない。ということは、まだまだ日本では携帯電話は宝飾品ではなく、機能性の機器だという認識が強いのだろう。

 かつて、フィンランドの携帯メーカーのノキアが日本でも展開していた、高級端末「VERTU(ヴァーチュ)」が2011年で日本市場から撤退している。ボディに宝飾品の装飾を施したり1000万円以上する高額機種もあり、話題を呼んだ。

 日本でもなかには、2台持ち、3台持ちの人もいたほどだが、ごく少数派であり、ノキア本社の意向もあり日本撤退となった。

 5Sと5Cは今後、スマホ市場で、高級機種と廉価機種を進めていくきっかけになる可能性がありそうだ。

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