「こんな僕でさえ富裕層といわれるならば…」というフェイスブックへの書き込みが波紋を呼んだ、エイベックスグループホールディングスの松浦勝人社長。証券税制が変わることにともなって、節税のために今年5月にクロス取引を行っていたことが大量保有報告書で明らかになっている。
松浦氏はまず、5月13日に個人名義の株式134万7800株を3010円で市場外で売却を行った。そして、翌14日に同値の3010円で買い戻して、元の状態に戻すという取引を行った。
クロス取引とは、含みが出た状態の株式を証券会社との相対取引で1泊2日かけて一度譲渡し同額で買い戻し利益を確定させる取引のことを言う。
来年から証券優遇税制がなくなり、利益に対する課税が現行の10%から20%になるために、今のうちに利益を確定させておきながら、株の保有も継続するという目的で行われるものだ。もちろん、来年も株価は下がらないだろうとの観測を立てているからこそ、できる取引でもある。
松浦氏の場合は、取得時の平均単価は1株60円として、1株あたり2950円の売却益が出る。総額では、約40億円の利益が出る。今年なら税金は4億円で済むが、来年ならば8億円になる。
今年は税制が変わるということと、株価が上昇しているという2つの要素が、こうした超富裕層にクロス取引をさせるきっかけとなっている。