「無給」だった山内溥氏、100億くらいは無頓着な金銭感覚

ゲーム専用機とともに終えた生涯

 山内氏は昨年に妻を先に亡くしているので、法定相続人である子供2人が半分ずつを相続すると考えられる。

 長男、克仁氏は取締役ではないが任天堂に在籍している。大学卒業後、電通・新聞局で働き、任天堂に呼び戻されたとき「将来は間違いなく社長だと思った」(電通関係者)というが、実現しなかった。「息子が社長の器でないことは父親が一番よく知っていた」(任天堂関係者)というほど、克仁氏のデキは悪かった。

 一方、長女の夫は、2002年1月まで米国任天堂の社長だった荒川實氏。米MITを卒業し丸紅で働いていたが、義父である山内氏に頼まれて任天堂の米国展開を引き受け、成功させた優秀な人物。だが、55歳という若さで突如として任天堂を去った。


 山内氏が岩田聡社長を後任に据えることを心に決めた時期だったから、義父の選択に対する抗議だったともみられた。血縁に流されずに岩田社長を選んだ山内氏。その後の任天堂の業績拡大をみれば、山内氏の眼力の鋭さを感じる。だがここにきて、任天堂はスマホとの競争から2期連続で営業赤字となり、先行きが不透明になっている。

 ファミコン、ゲームボーイなど、ゲーム専用機の時代をつくった山内氏が逝き、いよいよゲーム専用機の時代は終わったということを印象付けたようにも見える。

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