破綻するブラック企業の楽しみ方(11)

避けられないリストラ


 朝礼を終えて、それぞれの部署に戻った社員のなかには「さあ、就活だ!」と大きな声で空元気を出す者もいたが、改めて倒産の現実を突きつけられ、落胆を隠せない者もいた。人材紹介会社という業種から、社員たちは皆、倒産企業の社員の採用を拒む企業がいかに多いかを知っていて、茨の道を覚悟せざるをえなかったのだ。

 民事再生の受理を経てスポンサー企業が見つかれば会社は存続するが、顧客離れは必至だ。仕入先も離れていく。スポンサー企業は雇用の継続を表明するのものだが、それは当初のみで、1年後には相当数がリストラされているのが通例だ。生計を守るためには、会社の行く末にかかわらず、就職活動に入らなければならない。

 しかし、倒産企業の社員は縁起が悪いという通説にこだわる企業も多いし、倒産企業の社員にはどこか責任回避の気質があると判断する企業も多い。

 だから再就職になかなか恵まれず、外資系保険会社に入って固定給が保証される1年目を終えると失職したり、転職を繰り返したりした挙げ句、ネットワークビジネスやフランチャイズビジネスに手を染めて身を持ち崩すなど、苦難の続く人生を強いられる例が少なくないのだ。

 元中堅社員は、当時の心中を振り返る。

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