今週の週刊経済誌ランキング1位は、物流を特集した「週刊東洋経済」。インターネットでの消費が主要な位置づけを占めるようになったが、アマゾンと佐川急便が契約を切って、ヤマト運輸が契約を結んだりするなど新たな動きも。現在の物流の最前線を取り上げている。
◆1位 週刊東洋経済 物流最終戦争
先週の日経ビジネスでも特集されていたが、ヤマト運輸とアマゾンを中心に、物流を取り巻く企業の思惑が取りあげられた。今週は、週刊東洋経済が「物流最終戦争」と題して第1特集に持ってきた。多少、重複する内容もあるが、こちらの方が丁寧に組み立てられている感はある。
うごめく物流を知るうえでのキーポイントは3つ。「アマゾン震源の大革命」「ネット通販の配達戦争」「世界を巻き込む新潮流」だ。アマゾンと組んだヤマト運輸とそのアマゾンと決別し、中小企業向けのB to B案件に先祖返りした佐川急便の戦略についてや、ネット通販の物流拠点、拠点を作り昨年から物流展開を始めた楽天の攻防も描かれている。
◆2位 日経ビジネス イスラム・パワー
「イスラム・パワー 16億人の知られざる『世界』」という、時期もテーマも他誌と一線を画す新鮮味のある特集だ。
東京都内でも最近、マレーシアやインドネシアなど東南アジアイスラム圏からの観光客に遭遇する頻度が増している。それもそのはず。1990年には10億人だったイスラム教信者人口は、2010年に16億人に達した。世界人口の約23%を占め、今後も右肩上がりの伸びが予測され、2030年には21億人に増加する見通しだ。認証「ハラール」が紹介され、日本に観光に訪れたムスリム一家の同行取材なども放映されている。また、イスラム圏の今を紹介し、西のゲートウェイ「トルコ」と東のゲートウェイ「マレーシア」の戦略をレポートする。
◆3位 週刊ダイヤモンド 離婚・再婚の損得
「離婚・再婚の損得」がテーマで、ショルダーには「夫婦で読む! 離婚の現実、失敗しない再婚」とある。データでは、結婚しているカップルの3組に1組が離婚するそうで、離婚も生活上の基礎知識として読むべきというテーマになったということだ。
「離婚の現実と相場」には、慰謝料データも養育費シミュレーションも弁護士の選び方もいろいろ満載。「次こそ失敗しない再婚」とか、形容詞に「余計なお世話」感が漂うが、再婚時に押さえるべき10のポイントなどかなり現実的な話題もいっぱいだ。
「女性が男性の収入やリソースを一方的に吸う」日本の夫婦像を、肉食水生昆虫タガメと補食されるカエルに例えた著書『日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体』が話題の深尾葉子・大阪大学大学院准教授がインタビューに登場する。「タガメ女」、すごい反響だそうだ。Re婚カウンセラー・鈴木あけみ氏はコラムで「夫を否定し、平気で暴言を吐くダメ妻=プチモンスター妻」なら「浮気は妻の責任!」と言い切る。男性読者が多いせいか、随所に男性へのエールが散りばめられているような気もする。
◆4位 週刊エコノミスト 円安再来の日/日本産ウイスキー
第2特集の「日本産ウイスキー」が新しく新鮮か。日本ウイスキー史の始まりとも呼べるサントリー山崎蒸溜所の建設着手が、1923年10月1日。それからちょうど90年という年月を読み解く特集だ。
日本ウイスキー史を語るうえで、欠かせない2人。1人はサントリー創業者の鳥井信治郎、もう1人はニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝だ。
甘味ぶどう酒「赤玉ポートワイン」で成功した鳥井は、スコッチに負けない国産ウイスキーを作りたいと考える。長い貯蔵期間などから周囲の猛反対をうけるが押し切り、事業を始めた。その際、招聘したのがグラスゴーで技術と経営を学んだ竹鶴なのだ。しかし、ウイスキーの成功はトントン拍子という訳ではない。第1号は不発に終わり、考えの違いから2人は袂を分かつ。苦難を乗り越えての37年、サントリー「角瓶」でヒットを飛ばす。しかし、その後も安定ではない。浮き沈みを繰り返し、ハイボール人気に繋がる。