自分の退職金は「多い」か「少ない」か?

 自分自身が定年退職になった際の退職一時金の金額をみなさんはご存じだろうか。厚生労働省、東京都などの政府や役所をはじめ、日本経団連など各種団体が調査し算出しているが、一般的に大卒で35年以上勤務した場合には2000万円台が相場。それは多いのか、少ないのか?

 一時金の額については、「りそな企業年金研究所」が各種調査により算出されたデータを次のように、まとめている。

・厚生労働省(2008年)2026万円
・中央労働委(2011年)2620万円
・日本経団連(2010年)2443万円
・東京都(2012年)  1224万円
※大卒者

 この数値は大企業中心の中央労働委、経団連が他よりも高くなる傾向にあるようだが、大卒者で2000万円台が相場と見るべきか。そして、高卒者は1000万円台というような低い水準になる場合もある。

 では、こうした退職一時金の額については、皆どのように感じているのだろうか。

 「退職金制度に関する意識調査」(2002年、第一生命保険)の中に、そのデータがあった。
この調査によると、定年した時の退職金額を計算したことがある人の割合は17.3%にとどまるという。実は、皆どのくらいもらえるのかわかっていないのだ。

 しかし、金額をわかった後に「満足」と回答した人は20.1%、「不満」59.8%となるのだ。つまり、将来的にいくらもらえるかわからない、いざもらえる時になったら、金額にガッカリ。大体がこんな有様だ。まさに、「知らぬが仏」ということか。

 一時金としては十分で、旅行や家のリフォーム、孫の教育費用など様々な使い道が浮かんでくる。だが、その先を考えれば不十分と言わざるを得ない。

 女性の平均寿命は86.41歳、男性79.9歳(厚労省調べ)。65歳で定年したとして、女性ならば20年以上は生きると計算するならば、仮に退職金が2000万円として、年間に使える金額は約100万円ほどになる。

 さらに、最近は医療ジャーナリストやエコノミストの間では、医学の進歩で寿命はまだ伸びるということもまことしやかに言われるようになっている。そう考えれば「少ない」というのが実感ではないだろうか。もちろん公的年金がここに加わるわけだが、2031年の資金枯渇を厚労省は一度は試算しており、これだけで安心ということは言いきれない。

 では、65歳から慌てて何とかせねば、と投資運用などを始めたとしても「命金」だけに失敗は許されず、退職金や公的年金だけに頼らずに、若いうちから備えようとの動きが出ているのも当然だろう。

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