ヘルスケア事業を売るパナソニック、キャッシュが必要な裏事情

プラズマ撤退ならさらなる減損も

 「巨大グループであるパナにとって、売り上げ1300円規模では中核事業といえず、一方で是が非でもいま、キャッシュがほしい事情があった」

 パナの連結業績は、2012年3月期と13年3月期に連続で7000億円を超える最終赤字となり、有利子負債は昨年9月末に1兆円を超えた。東京のビル売却などで今年3月末には6433億円まで圧縮したが、かつて「松下銀行」と呼ばれたのがウソのような財務状態である。

 第1四半期(4~6月)の連結決算は、最終利益が1078億円と四半期ベースで過去最高になったが、企業年金制度の改革による特別利益のおかげで、本業回復とは程遠い。


プラズマTVビエラの会見に出席した CMキャラの女優・綾瀬はるかさん
 兵庫・尼崎のプラズマディスプレー工場などは投資の大半を減損処理したが、「まだ足らない」と、ある関係者は話す。「一部でプラズマ撤退が報道され、パナは否定コメントを出したが、可能性は大いにある。撤退となると1000億円近い追加減損が必要になるから資金が足らなかっただけ」とも。

 ヘルスケア社の売却により、パナは1000億円を超えるキャッシュを得ることになり、財務諸表も大きく改善する。「高値で売れることが確実なヘルスケア社はキャッシュ化したくてしょうがない“案件”だった」わけだ。

 ある50代パナ社員は、ヘルスケア社の売却交渉決着を聞き、こうため息をついた。「軍資金が手に入ったいま、次の大きなリストラが実施されるに違いない」

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