5%から8%への消費税増税を安倍首相が決定したが、富裕層にとっては次なる増税策が何か、庶民にとっては税負担が重くなると関心を寄せている。
週刊現代10月12日号「財務省が孫正義、三木谷、柳井の全財産を没収する日」
週刊プレイボーイ10月14日号「消費増税の前に『富裕層優遇税』に手をつけろ!!」
今週発売の週刊誌2誌が、富裕税について特集を組んでいるのだ。これは、消費税増税が決定したことを受けたタイミングだけに、お次の増税策は何になるかという視点と、庶民の税負担が重くなるから不公平だという視点からの特集だ。
全国民にとって関係することで関心が高いことを示しているとも言い換えることができる。
まず、今回の消費税増税で大切なことは、これで社会保障の立て直しや財政再建ができるわけではないということだ。
財務省が試算した「平成24年度予算の後年度歳出・歳入の影響試算」によると、平成27年度までの歳出と歳入を試算したもので、名目経済成長率1%台半ばの場合でも、平成25~27年度まで財政収支は赤字となる。次のような数字となる。
25年度 26年度 27年度
歳出 91.9兆円 98.2兆円 101.4兆円
歳入 46.1兆円 52.9兆円 56.0兆円
これは成長率を2%や3%にいじくったところで財政収支の赤字は結果的に変わらない。この試算は、消費税率を5%から8%へ、8%から10%とアップした上での結果だ。
こうなると、お次は何かとなる。そこで、有力なものが財産税と富裕税だ。
財産税は、1946年(昭和21年)、当時の吉田内閣が財産税法を施行することを決めた。GHQの指示に基づいたもので、従来から存在した相続、固定資産などの各税に加えて、1946年3月1日時点での保有資産合計が、10万円以上の個人を対象として課税された。何と資産額1500万円以上の人は90%という超累進課税となった。
富裕税は続けて1950年に施行され、資産総額5000万円以上で資産に対して毎年3%が課税される。つまり単純計算で30数年で財産を没収し尽くすということになる。だが、結果的には50~52年の3年で終わっている。
ただ、故・松下幸之助なども財産をほとんど没収されており、この経験が後に構想した「無税国家論」につながっており、松下政経塾の設立にいたっている。
財産税と富裕税は、使い道はすべては明らかにはなっていないものの、国の債務を解消するため、さらには、GHQによる各種費用などにも充てられたとも言われている。
富裕税はつい63年前だ。人生のうちで2回経験する人も出てくるのだろうか。