シェールガスとビッグデータで米国が復権  木曜日からでも間に合う週刊経済誌ランキング

 今週の週刊経済誌ランキング1位はシェールガス革命とビッグデータを特集した「週刊エコノミスト」。今週は、週刊ダイヤモンドと東洋経済が、大学というテーマでシンクロした。だが、それを差し置いても面白かったのがエコノミストだった。シェールガスとビッグデータという関係なさそうな2つのテーマをまとめて成長のエンジンと名づけた。

 ◆1位 週刊エコノミスト シェール革命とビッグデータ
 「シェール革命」と「ビッグデータ」。なんで並列かといぶかったが、「米国を再生させる2つの原動力」という副題で納得した。

 2017年にも世界最大の産油国となることが期待される米国。さらにビッグデータによって、世界のGDPを15兆ドル押し上げるとも試算されてる。米シンクタンク、マッキンゼー・グローバル・インスティチュートは、この7月に発表したレポートで「7年後には最大で6100億ドルの富を米国にもたらす」と発表した。

 ◆2位 日経ビジネス 「中国失速」の真実
 ここ何年もかまびすしい中国経済失速論だが、「…の真実」とタイトルに入れるのが同誌らしいところ。一時の勢いはないとはいえ、「それでもなお高度成長の余熱が残っている」。新政権となり、前政権が先送りした諸問題を抱え、綱渡りの国家運営は続くが、日本企業にとって中国との関係はこれまでもこれからも大きなテーマだ。

 胡錦濤・温家宝政権時代の改革の先送りを「中国版 失われた10年」と命名する。特集は6つのパートで語られる。まずは「失われた10年」の負の側面のレポートから始まる。2つめのタイトルは「だが早期破綻はない」というものだ。中国経済の腰の強さを世銀中国局長などが語る。そして「困る中国こそ商機」へと続く。中国が抱える課題こそ「そのまま日本企業の商機」だ。高齢化や食品安全など、中国政府の重点政策がわかりやすくまとめられ、それはそのまま日本企業の進出拡大の糸口となる。後半は「政治編」「提言・反中感情を捨てよ」「データ編・中国の強さと弱さ」の3つだ。面白い特集だが、後半の切り口3つへの深掘りがないのが残念だ。

 ◆3位 週刊ダイヤモンド 大学徹底比較 就職に強い学部・ゼミ・体育会はここだ!
 ダイヤモンド、東洋経済がテーマでも表紙デザインでもシンクロニシティを起こしている。ダイヤは表紙にはドでかい「大学」の2文字が。東洋経済はこれまた同様にドでかい「就活」の2文字が、それぞれ黄色地に太い黒文字、同じ書体で並んでいる。兄弟誌みたいだ。

 2誌の切り口は、大学の入り口と出口という感じだろうか。ダイヤモンドは、「就活から見た大学選び」。東洋経済は就活そのものの指南書的な内容だ。もちろん両方とも親と子どもの双方に向けて発信している。

 ダイヤモンドだが、「全国638大学2100学部の”本当の就職率”を初公開!」とある。8月に735大学に向けてアンケート調査を行ない、そこから算出した”本当の就職率”をまとめている。総合ランキングは、1位が就活力に定評のある一橋大学。2位、3位が名古屋工業大学、東京薬科大学と理系大が続き、4位に女子大からお茶の水女子大学。5位で東京大学が入るという結果になった。全体的に「理高文低」。就職に強いと定評の体育会はラクロスが上昇株。

 ◆第4位 週刊東洋経済 今、始めなきゃ!就活
 「今、始めなきゃ!就活 親子も知らない新常識」。12月1日の就活解禁を前に、就活の「実情」と対応策がレポートされている。

 まずは実情編。ここへきて、就活生たちの危機意識は急速に緩み始めているそうだ。アベノミクスやオリンピック誘致の成功で、雇用環境の好転が期待され、学生たちはそれを敏感に感じ取っているという。しかし、売り手市場化が進んでも油断大敵。就活期間の短期化で企業側がターゲットをしぼるため、上位校と中位校以下の大学間格差がさらに拡大するのだ。これを「学歴フィルター」というそうだ。平等主義が建前のため、人気企業と上位大学間のマッチングは行なわれやすいが、中位以下大学の学生は企業とのマッチングがうまくいっていない。

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