富裕層からは高い評価
柳井正氏
また別の富裕層からは「昔はユニクロの製品は安かろう悪かろうだった。でも、今にいたるまでに他社の良いところ、いわゆるいいとこどりをして、ハイブリッドになってきているように思う。世界に通用する会社を作ることができる人は一握りでしかない」(30代、男性社長)という声や、「あそこまで、非情に言い切るところ、もっと言うなら、非情になれるところは並の経営者ではマネできない」(30代、男性投資家)という声も聞いたことがある。
フォーブスが推計した日本の長者番付では総資産133億ドル(約1兆3075億円)で、1位でもあり、尊敬のまなざしや、目標という捉え方もあるのだろうか。富裕層間の格差は、富裕層と一般層との格差よりも大きく、例えば1億円と1兆円の差は、1億円と1000万円の差よりも大きい。自分よりも秀でた人を評価するのも富裕層であり、憧れを持ち目指す目標ともしているのだ。
一方で、すべての人がそうは受け取らない。「世界同一賃金」による「年収100万円」発言など刺激的な言葉が炎上を生むこともしばしばだ。
これは、今後さらに人材がフラット化していくと、何ら取り柄のない下層の従業員は年俸100万円になる可能性もありうるという意味で説明したので、よく発言を読めば背景は理解可能だ。だが、発言主の意図とは別に、センセーショナルさで感情論として受け止められることも多い。
この考え方を理解できる上で、会社の事業を発展させることができる人間を残せば良い? もちろん、ここからポスト柳井が出てくるかどうかは今後を見なければならない。