英富裕層の「趣味」による地下室開発が急増で規制へ

2001年から6倍に増加

 ケンジントン&チェルシー王立区の資料によると、建設計画の申請件数や認可件数があきらかにされている。年ごとの件数は次のとおり。

 01年46、02年77、03年69、04年97、05年94、06年119、07年186、08年186、09年129、10年182、11年186、12年307

 申請数は2001年がわずか46件だけだったものの、「隣がやるならうちもやる」と言わんばかりに年々増加する一方に。2012年には307件にも増えている。実に約6倍の件数だ。今年に入ってからも6月までに166件と、昨年以上になることはほぼ確実視されている。
 
 2008年から2013年6月までに合計1156件の申請登録があり、そのうち926件の申請に対して許可を出した。申請を認めなかったのは142件だけだった。引き続き検討しているものは257件もある。

 しかも地下1階では物足りず、地下2階、3階という案件も増加している。

 2008年はわずかに6件だけだったが、2012年は22件にも上る。今年に入ってからも 6月までで15件となっている。


青が床下浸水の可能性がある所
 地域的には、南部と中西部に多く見られる。南部は川が流れており、西部は現在は流れていないが、かつては川だったことから地下水が確認されている。南部は床下浸水の可能性も危惧されるところだ。

 ロンドンは歴史的に水害に強い都市だと言われてきた。しかし、民間の建築デザインコンサルタント会社アラン・バクスターの調査報告書によると、ロンドン市街の地下には帯水層が含まれており、テムズバレーの北と南にはその水を含んだ層が沈殿しているという。不慣れな設計、建築業者ではミスをおかしてしまう可能性も指摘している。

 これまでにも工事や使い方による騒音などからも、問題は指摘されてはきたが、 規制案として考えられるのは規模の規制か、あるいは安全面を考慮しての何らかの水害対策義務を課すか、あるいは税金を課すか、などが考えられる。

 同じく高級住宅街を持つウエストミンスターでも同様の規制検討に入っており、今後の地下室開発は難しくなっていきそうだ。


紫の丸印の5件の上下比較(上1999年、下2012年)。開発された様子がわかる

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