ルイ・ヴィトン業績停滞の原因、中国の偽物と汚職取り締まり

 世界最大の高級ブランドコングロマリット「ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー」(LVMH)の第3四半期(7~9月期)の売上高は、前年同期比8%増の70億2000万ユーロ(約9492億円)となった。事前のコンセンサスでは10%以上になると見られており、予想外に不振に。これは、バッグなどの皮革製品で「バッタもん」が中国で大量に出回っているのも影響ではないか、と報道も現地では出るなど問題が表になりつつある。


 意外な不振となったのがルイ・ヴィトン。LVMHグループの最大ブランドでもある。ブルームバーグのアナリスト予想の中央値は72億4000万ユーロだった。

 LVMHによると、今年1~9月の3四半期で見れば、「ファッション&レザー」部門は1%減、「時計&宝石」も2%減となった。対してセレクト部門が16%増となり、ファッション&レザー部門に迫る収益部門に成長しつつある。ブランド需要がまだ本格的に戻り切っていないとも言える。

 ◆今年1~9月の部門別売上高
ワイン  28.40億 3%増
ファッション、革 71.39億 1%減
香水、コスメ   26.83億 2%増
時計、宝石    19.97億 2%減
セレクト     63.16億 16%増
合計       207.15億(単位:ユーロ)

 しかし、その一方でこんな見方があるのだ。中国メディアの毎日経済新聞網は、ルイ・ヴィトンのバッグなどの偽物が氾濫しており、いたちごっこで対策もなかなか効果が発揮しにくい。それが消費者離れを起こしている一因ではないかというのだ。

 近年の業績の伸びは中国市場によるところも多く、ATカーニーの最新の調査によれば、中国の上位2%層が、世界のラグジュアリー消費の3分の1を占めるという結果が出ている。

 その消費として官僚への贈り物も多かったが、汚職に対して厳しく取り締まる動きも出ており、鈍化しているとの見方もある。ルイ・ヴィトン、グッチは特に人気ブランドでもあったが、今後は業績にブレーキがかかる懸念もある。

 バッタもん、汚職への取り締まり、ということが本当に原因だとすれば、それは未成熟な危険な市場であることを改めて痛感させられる。

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