「デス・レポート」としても知られる香港の調査会社にして空売り屋のマッディ・ウォーターズが、NY証券取引所に上場の携帯電話セキュリティ会社「NQ MOBILE」に関するレポートを発表し、24日の株式市場で50%以上株価が急落し、時価総額5億ドル以上が喪失した。
2012年の売上高の少なくとも72%が、「ウソ」だというもの。中国市場で55%のシェアを誇ると主張しているが、実際には1.5%ほどで、ユーザー数も公称600万人ではなく、せいぜい20万人ほどではないかというのだ。
同社の売上高の推移は、2010年3.5億ドル、11年12.65億ドル、12年28.98億ドルと急成長してるが、これにも疑いの目がかけられている。
24日のNY証券取引所では、1株32ドルから、12.09ドルにまで値を下げた。一時は10ドルを割る水準にまで下げる場面もあった。これによって、同社の時価総額は11億ドルから、5億ドルにまで半分が失われた。
マッディ社はこれまでに、サイノフォレスト、オリエントペーパー、オーラムインターナショナルなどもレポートで取り上げてきた。粉飾の疑いのある主に中国企業を探し出して、レポートを発表し自らも空売りを仕掛けるという手法を取っている。
一昨年は林業会社サイノフォレストのレポートを発表し、実際の作付管理面積はまったくのウソで、株価は70%以上も下落。レポートの内容も正しいことが判明し、経営破たんを余儀なくされた。
この際に、サイノ社は著名ヘッジファンドマネージャー、ジョン・ポールソン氏の運用会社ポールソン&カンパニーが投資しており、大損をさせられた。
今回、NQモバイルに関しては、インサイダー取引でSECから訴追されたSACキャピタルアドバイザーズが今年に入ってから大株主に名を連ねている。かなりの損失を出すものとみられる。