厚生労働省が発表した医療経済実態調査によると、病院の形態別の昨年度の給与は医療法人の院長が最も高く、3097万円(2011年度比1.7%増)だった。国立病院の院長は同3.6%減の1964万円と、両者の差は広がっている。
これは中央社会保険医療協議会総会が、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局における医業経営の実態を明らかにし、社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的に行っている調査。病院の形態ごとの、平均給与、賞与とその合計は次のようになる。
◆一般病院(国立)
平均給与 賞与 合計 対前々年比
病院長 1425万円 538万円 1964万円 -3.6%
医師 1211万円 263万円 1474万円 1.1%
歯科医 971万円 200万円 1175万円 4.9%
◆一般病院(公立)
病院長 1721万円 341万円 2043万円 1.3%
医師 1296万円 219万円 1516万円 1.1%
歯科医 1168万円 222万円 1391万円 4.9%
◆医療法人
病院長 3055万円 42万円 3097万円 1.7%
医師 1506万円 82万円 1589万円 2.8%
歯科医 911万円 71万円 983万円 1.9%
◆個人
医師 1711万円 121万円 1832万円 2.4%
病院長間において、国立と医療法人の差がさらに拡大しており、差が1000万円以上になっている。公立病院は賞与が医療法人よりも高くなる傾向にあるが、歯科医師の対前年比伸び率が最も高くなった。医療法人の勤務医や、所属のない個人医師も2%以上の伸びとなっている。
国立、公立と私立との待遇面での差だが、以下のような収益の差が大きい。
◆病院ごとの収益
医業収益 損益
医療法人 15億1281万円 7014万円
国立病院 55億4238万円 2017万円
公立病院 50億2195万円 -2億9625万円
公立病院の不採算性はこれまでにも明らかになっており、累積赤字も解消できていない。
採算性が合わないのは救急部門だが、これは、民間病院とは違い、廃止に踏み切れない場合も多い。