公的年金などの運用改革を行う内閣府の有識者会議(座長:東京大学大学院教授・伊藤隆敏氏)が20日午後に会合を開き、今月までにまとめる最終報告を決定する。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針の改革が主なテーマで、投資対象を従来よりもリスク性の高いものにする方針だ。
約120兆円という世界最大級の運用資産規模を誇るGPIFだが、国債の運用が中心の上に、すでに基金の取り崩しも始まっている。さらには、2030年で運用資金の枯渇も言われるまでになっている。
GPIFの中期計画変更案で、国内債券の保有比率を67%から60%に低下させている。その代わりに外国債券を8%から11%へ、外国株式を9%から12%へとそれぞれ増加させている。
最終案としては、株式、ベンチャーキャピタル、コモディティ、プライベートエクイティ(PE)、REIT(不動産投資信託)、インフラ投資なども運用の対象を検討する範囲になるという。
主力の債券と連動しない投資対象の組み入れの必要性は以前から言われてきたが、具体的な数値などは組み込まれない見通しだという。
野党には根強い反対論も出ており、この日の午前の衆院厚生労働委員会でも、激しい論戦となった。野党からは、リーマンショックで傷が浅かったのは債券が多かったから、という声や、年金の資金に、コモディティ、VC、PEなどリスクの高いものを組み入れるのはどうかという声も出ていた。
市場では、JPX日経インデックス400などの銘柄に買いが入るとの見方もあり、期待感も大きい。海外のSWFなど機関投資家からも期待買いが入っているとも言われる。
いずれにせよ、毎年度の取り崩し額が6~9兆円。その取り崩し額を上回るリターンをあげなければならない。枯渇する時が早く来るか遅らせるか、30歳代などの現役世代にとってみれば根本的な解決策にはならない。