米財団PEWがこのたび発表した調査で、最下層家庭から次世代に最上位層へ移動した割合はわずか4%だった。長らく信望されてきたアメリカンドリームは、大きな嘘であることが判明した。
この調査は、1968年から現在まで2世代を追い続けた調査プロジェクトで、約40年の間のデータを集計した。調査対象となった家庭は1968年時点で、18歳以下だった子供が対象となっている。
まず、階層を5つに分類し、その最も下の階層出身の場合、次世代もそのまま43%が最下層にとどまっている。そして、最上位層に移行できるのは、わずか4%。2番目の階層でさえ9%で、成り上がりはひじょうに難しいことが明らかになっている。
下の図は、その階層の移動の割合を示したものだ。
最上位層には4%が移動に成功しているが、約半分にあたる43%はそのまま移動することができていないという現状がある。一つ上の階層移動でさえ、わずか27%、中間層には17%しか移動できていない。
最下層から最上位層に、階層移動に成功できた人の共通項としては、実に86%が大学を卒業していたこともわかった。また、84%は両親が共働きでもあった。これだけを持って成功要因だと断定することはできないが、8割以上の割合を示したことで、階層移動において最低条件であるかもしれない。比較としては、次のような特徴が出ている。
大卒の方が高卒よりも5.3倍の割合で、最上位層に移動しやすい。
大卒の方が高卒よりも2.5倍の割合で、中階層には移動しやすい。
共働きの方が3.4倍、最上位層に移動しやすい。
共働きの豊が2.8倍、中階層に移動しやすい。
また、中間層へ移動した人の収入や資産を比較すると、さらに差が出ていることがわかる。