デリバティブ取引で約200億円の損失で社内調査も行っていた、国内ジーンズ大手のエドウィンが27日、事業再生実務者協会に対し事業再生ADR手続きの利用を申請したことが東京商工リサーチの調べでわかった。イチ経理担当者の「自殺」など不可解な点も多く、いまだ謎が残る。
エドウィンは昭和22年に前身が創業し、44年に設立された。俳優のブラット・ピットさんをCM起用するなど、エドウインはじめ、リー、ラングラー、カーハート、リベルト、サムシング、フィオルッチなど多くのジーンズブランドを抱え、約300億円をあげる企業となった。
昨年8月に、200億円の損失隠しが報道されると事態は一変した。平成21年から24年にかけて、デリバティブ取引をしていたとされ、数十億円から200億円の損失を出しているとされている。
ここで取引を主導したのは誰かということになるが、エドウィンの常見修二社長は、先代の父親から「株ですってしまって、お前には残せなかった」と生前に告げられたという。その教訓として、株には一切手を出さない、と心に決めたという。
そこで、存在がクローズアップされたのが、経理担当の男性K氏の存在だった。この経理担当者は昨年8月7日に、埼玉県内の路上に停めてあった車の中で亡くなっているところを発見されている。また、登記簿によると、担当者の埼玉県志木市の住宅は亡くなる前に、自身から家族名義に変更されていたこともわかっている。これが、死を見越してのものなのかどうかはわからない。
また、家族や周囲も沈黙を守っているため、事情はわからない。イチ経理担当者にそこまでの取引の決裁権限を与えていたのかどうかなど謎は明らかにされないままだ。
ただ、エドウィンは、三菱UFJなど取引銀行によるバンクミーティングが何度も行われたが、再建計画は遅々として進捗しないまま。業績そのものは問題がないとされていたものの、具体的な方策が示されなかったようで、単に時間だけが過ぎていったという。
今後も継続してスポンサーの選定を続け、再建を目指す。