三空氏「中部電力株を売れ」、静岡市議会質問、問われる自治体の資産運用

条例で凝り固まった資産運用

 電気事業経営記念基金条例というものがあり、これで中部電力株やその配当金の使い道や投資方針が決められているのだ。静岡市によると、自由に売却ができず、また、剰余金も含めて元本保証がない株式などのリスク資産に移しての資産運用をすることは困難だという。

 さらに「基金に属し、公金である性格上、預金その他の確実な元本保証のない株式の取得はできないとされる」と答弁。現在、配当金の残りである9億5000万円は、元本償還が確実な国債などにあてる、とした。

 同市は、土木事業や森林保全などに充てている。配当金は現在、昭和38年以降で累計96億円。ただし、無配が継続しているということもあり、「25年度予算は1億1000万円の建設事業にあてる財源の見直しが必要」だとし、今後も「(中部電力株を)注視するとともに、建設事業確保に努める」とした。
 
 閉会後に取材に応じた池谷氏は、質問の理由について「絶対につぶれない企業はないし、緊急時に数十億円、数百億円の資産が、0円になるかもしれないという資産管理の意識を変える必要があると(市が)思うかどうか経済的価値にも着目していただき、将来に対する株式保有について考えてほしかったから」と語った。

 リスク要因としては、25年から施行される改正電気事業法による、新規との競争による業績リスクや、南海トラフ地震も挙げている。

 また、もしも売却した場合の使い道については「少子高齢化が進む中で子供を産み育てていく環境を作ったり、原発に依存しない新エネルギーを導入して、市役所の電力を全部自前で賄ったり、先進的な事例を作ってほしい」と述べた。

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