不動産投資家の新たな大敵「40代お一人様」の自然死

東京は3~5年、地方は一生付きまとう


 新たな入居者を募集するにあたっては、直前の入居者がその部屋で死亡したという出来事を情報として公開するかどうかだが、実際には伝えるケースが多いようだ。 

 「自然死は重説事項(説明義務が生じるほどの重要な事項)にあたるとは言い切れず、実際の現場では後でトラブルを招かないためにも全部説明しておいた方が良いかもしれません」(前出弁護士)

 また、伝えずに入居が決まって、後からその事実を知って退去を申し出た場合に、敷金礼金を返還したりしたケースもあったそうだ。オーナーとしても波風を立てたくないという人が多く、何とか穏便に収めたいようだ。そのためにも、説明する人は多いのだとか。

 ただし、過去の判例では、東京都内などの都心部では、人の入れ替わりも早く近隣のつながりが疎いという点も考慮され、事実を告知する義務は3~5年というものがある。その一方で、地縁が何代にもわたって続く地方は、そうはいかないようだ。

・東京など都市部
 前入居者(自然死)⇒今入居者(告知)⇒次入居者(非告知)

・地方
 前入居者(自然死)⇒今入居者(告知)⇒次入居者(告知?)

 これは、国土交通省が定めている、原状回復のガイドラインの中に存在しないためだ。こうした事情も考慮に入れたガイドラインの早期作成が望まれる。

 東京都内で場所が良ければ、「2、3割安くすれば、外国人が借りてくれるよ」という経験談を話す投資家もいる。物事も捉え方ひとつでどうにもでなるものだが、不動産投資家にとっては、頭の痛い難題が降りかかってくる。

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