オーエンス氏の金メダルに1.5億円、思わぬ「相続財産」に

 25年間にわたって世界記録を保持し、五輪4冠王だった故ジェシー・オーエンス氏が所有していた金メダルが史上最高額の146万ドル(約1億5000万円)で落札された。所有者にとっては思わぬ「相続財産」となった。オークション主催者の米SCPオークションが9日発表した。


ジェシー・オーエンス氏
 オーエンス氏は、23歳時のベルリン五輪(1936年)で、男子100メートルなどで5つの世界記録を打ち立て、4冠(100米、200米、400米リレー、走り幅跳び)に輝いた伝説の陸上選手。今回、落札されたメダルはベルリン五輪の金メダル。落札者はNFLピッツバーグ・スティーラーズの共同オーナー、ロン・バークル氏だった。落札金の一部は寄付される。

 メダルを所有していたのは、オーエンス氏の知人の未亡人だという。所有移転のきっかけは、オーエンスが職にあぶれていたころに、仕事や生活を工面してくれた友人にお礼としてプレゼントしたのだという。

 メダル獲得後も当時はまだ、人種差別が残る社会で暮らし、破産など苦汁をのまされてきたが、大統領自由勲章を授与されるなど、名声を取り戻した。ただ、苦しい生活を強いられたことは、本人がメダルを手放したことが物が立っている。

 しかし、ドイツ人でもあるIOCのトーマス・バッハ会長が昨年、「オーエンスの金メダルは歴史的遺産だ」と発言したことで、再び脚光を浴びてその価値に注目が集まっていた。

 米国では当時は報奨金は出ておらず、オーエンス氏がメダルを手放した決断もうなづけるものだ。ちなみに現在では報奨金も課税対象となっている。

 2020年に東京五輪開催が決定し、日本国内でも五輪への関心が高くなっているが、金メダルの報奨金は次のとおり。シンガポールが最も高い約8300万円となる。これは、同国のスポーツ選手が国際的な舞台で活躍した実績がないためで、そのために高額となっている。

 各国の主な金メダル報奨金は次のとおり。

・シンガポール 100万シンガポールドル
・中国     500万元
・米国     2万5000ドル
・マレーシア  100万円リンギット
・ロシア    400万ルーブル
・日本     300万円
・ルーマニア  学費、家賃が一生無料
※民間などからのボーナスは含まない。

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