これが30年後の自分の姿? 危険な「70代老人の投資」

 フィデリティ退職・投資教育研究所が先日、70歳代の投資家に焦点を当てた調査「年齢を感じさせない70代投資家の隠れた課題」を発表した。ゆかしメディアの主要な読者層である3、40代の現役世代にとっては今すぐに直接関係ないものの、遠い将来の教訓としてデータを読み取ってみることにした。

 この調査は全国20~79歳までの3297人を対象にした。全体の中で70代は545人で、男性10.8%、女性5.6%だった。保有資産の平均は、70代男性で2250万円、女性で2837万円となっており、少し女性が高め。70代を対象とした調査結果は珍しいが、いくつかの教訓も見えてくる。

 昨年後半からの日本株上昇の中にあっても、「評価損を抱えている」と回答した人は、男性57.4%、女性55.4%となった。なぜか、若い世代の方が成績が良いようだ。


 では、なぜ投資するか、その目的だが「老後のための資産形成」が全体で47.0%と高い。「年金以外の生活費が必要になっているため」が32.1%で、約8割が退職後の生活保全のために行っていることがわかる。つまり、現役世代は後悔する前に、しっかりと準備をしておかなくてはならないということになる。

 「週刊現代」で「70歳を過ぎてからのビンボーはこんなに怖い」などの特集も組まれるなど、老後は甘くないという例が示されている。

 しかし、投資したきっかけだが、女性は「第三者に勧められるまま」と回答した人が12.4%となり、実に8人に1人の割合だ。


 先日、三菱東京UFJ銀行の行員2人が、79歳の資産家女性を相手に、ブックメーカー投資をうたう「スピーシー」に勧誘を行い、最終的に4億円を出資させたという、出来事があったと伝えられたばかり。これなどもまさに、第三者に勧められるまま、というケースの典型なのだろう。

 投資志向としても男女で差があって、男性は日本株、女性は毎月分散型投資信託が多い。値上がり重視か、分配金重視かという価値観の違いからこうした投資対象の差が生まれている。スピーシーなどのような破綻した投資対象も、毎月分配金が受け取れるタイプのものだった。

 女性は43.5%が毎月分配型投資信託を保有していた。これは平均よりも13ポイント高い。

 とにかく、70歳になってからの投資の目的が「老後のため」というものでは、行く末が心許ない。やはり、働くことができる今のうちから何らかの投資をするなど対策を行っておく方が良いだろう。

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