米投資銀行ゴールドマン・サックスグループが、若手のバンカーに対して休日出勤を禁止するなどの労働環境改善に取り組むことを検討するようになったが、今度はJPモルガンが同様の休日出勤禁止を検討していることが、米ニューヨーカー誌などの報道でわかった。
ゴールドマンが検討したことが大きな要因の一つのようで、今後はウォール街全体に広がっていくのかもしれない。
理由としては、表向きには労働環境の改善が挙げられるだろう。ただし、もうひとつの目的としては、一人前となった時点で、同業他社やヘッジファンド、プライベートエクイティ(PE)に移籍するなど、新たな人材獲得コストもかかるようになるという点もあるだろう。また、M&Aの規模が縮小するなどしており、コスト削減にもつながる。
業界的には入社1~3年目のアナリストで、おおむね600万円~1000万円程度の年収額となる。そして、アソシエイトになると、1200万円~2000万円程度。30代半ばまでに生涯年収くらいの○○億円を稼ぎきってしまう、というイメージとなる。ゴールドマンでは「せめて年収7000万円いかなければ、一人前ではない」と言われることもあるそうだ。
ということは、バイスプレジデントやシニアバンカーたちにも、指示の削減などが義務付けられるようになるのだろうか。
かつて、リーマン・ブラザーズのCFOだったエリン・カラン氏が、米NYタイムズに「仕事以外の生活がありますか?」と寄稿。その中で、「そもそも、わたしは仕事にすべてをささげるという目標でスタートはしていません」と書いて話題を呼んだこともあった。引退した現在は「わたしにはもうブラックベリーは必要ない」ともしていた。
今回の労働環境改善については、儲けのためのコスト削減なのか、ジュニアバンカーたちのためなのか、どちらかはわからない。