デンマークの証券大手サクソバンクFX証券は18日、2014年の相場動向を予測した「2014年大胆予測」を発表し、その中で、EU圏で富裕層に特別な税金が課されて全体主義経済に陥る可能性や、日本では日銀による15%の政府債務の帳消しが考えられる、としている。
◆概要は次のとおり
1 EUは富裕税でソビエト型経済に回帰
2 反EU勢力に牛耳られる欧州議会
3 米国に迫るデフレの影
4 FOMC、全力で住宅ローン金利の上昇を回避
5 CAC40は40%急落
6 「フラジャイル・ファイブ」通貨が対米ドル相場で25%下落
7 アマゾン、ツイッターなどのIT企業5社の株価が暴落する
8 ドル円相場が80円を割りこみ、日銀が政府債務帳消しに動く
9 ブレント原油は80ドルまで下落
10 ドイツ経済も不況に
まず、EU(欧州連合)は、チーフエコノミスト兼最高運用責任者のスティーン・ヤコブセン氏によると、「デフレと成長鈍化が政策当局者の間にパニックを引き起こします。その結果、欧州委員会では10万米ドルまたは10万ユーロを超える預金保有者に対して富裕税を課す法案が、諮問グループに提出されるでしょう」と述べている。
富裕税導入の目的の一つは、所得格差を是正することで、域内人口の1%と言われる富裕層にさらなる負担を課すことで社会全体の負担を軽減することになると見られる。
これまで発表されている、学術論文や銀行のレポートなどには5~10%の富裕税導入を提唱している。その上で、ヤコブセン氏は「富裕税構想が浮上してきたことは、EUが全体主義国家への移行の最終段階に近づいたことを意味します。それは、個人の権利や財産権の抑制につながります。結局私たちは回り回ってソビエト型経済に回帰しているのです」と説明した。
さらに具体的な投資についても言及しており、有形資産を購入し、割高な無形資産を売却するべきだとし、SPDRゴールド・シェアETFを購入して180ドルの高値がつくまで待つという。その一方で、エルメス・インターナショナル、ルイ・ヴィトン、サザビーズを均等に組み入れた売りポジションのバスケットを組んで、価値が半額になるまで保有するとよいという。
ヤコブセン氏は「過去20年間のデフレ状態からなんとしても脱出したい日本銀行は、政府債務の帳消しに踏み切る可能性があります」とし、続けて「具体的には、日銀が保有する国債(
資産)とその対価として発行した紙幣(負債)を同時に相殺することが考えられます」と予測した。
もちろん、どの程度の影響があるのかは行ってみなければわからないのだが、「日本経済の先行きはひどく不確実なものとなり、想定外の壊滅的な副作用に怯えることになります。『気が狂っている』と思われるかもしれませんが、危機対応という大義名分があれば、何が起きてもおかしくありません」と同氏。
景気刺激対策も思ったほど実体経済へ繁栄はしておらず、政府債務も積みあがっていくばかり。日本の政府債務は、国内総生産(GDP)の215%に達しており、先進国では最大規模に膨らんでいる。また、今後も少子高齢化となる人口動態を見ても、予算編成さえも不安を残すほどだ。
「中央銀行の内部では、これまでに実証されたことがない巧妙なトリックが注目され始めています。それは中央銀行が保有する国債を帳消しにすることです。日本の場合なら、およそ15%の政府債務の帳消しが考えられます。それは、日銀の帳簿上で、この資産とこの負債を帳消しにしますと言って実行するだけの簡単な会計操作で済んでしまうのです」とヤコブセン氏。
日本全体の債務残高に当てはめると、150兆円以上が債務帳消しすることになるが、どの程度の影響があるか、実際にやってみなければわからない。