国立大の約5割で学生の学力不足に悩む学長

 国立大学でも学生の学力不足に悩む学長。

 リクルートマーケティングパートナーズが行った調査「入試制度に関する学長調査(2013)」の中で明らかになっている。国公私立大の学長の8割以上が「自校の学生の学力に課題がある」と考えていることが判明。また、国立大でも過半数の学長が「課題」だと答えている。

 この調査は昨年8~9月、国公私立大745校を対象に実施。60.7%の452校の学長から回答があった(国立13.3%、公立11.5%、私立74.8%)。同社と、東京大学大学院教育学研究科の両角亜希子准教授と共同で調査。なお、具体的な大学名は明らかにされておらず、東大、京大、慶応大などの有名校や、医学部などが入っているのかはわからないものの、大学側や社会が学生に求める学力との認識差は、参考とはなりそうだ。

 国立大では「高校の到達度の低下」で29.2%。大学側が求める学力が不足しているとの
認識が明らかになっている。

◆「学生の学力」に対する課題
(大きな課題、ある程度課題、あまり課題ではない、全く課題ではない)

国立 8.5% 49.2% 33.9% 8.5%
公立 7.7% 53.8% 34.6% 3.8%
私立 31.9% 61.8% 5.7% 0.6%

 さすがに国公立大では大きな課題ととらえてはいないものの、私立大では、90%以上が課題だと捉えられている。

 それでいながらも、学生数の確保という課題を学長は背負っていることになる。学力のバラつきがある私立とは違い、国立では、「高校の内申点の低下」の項目で0%としており、今後はAO入試など多様な入試スタイルを検討している。



 AO入試の検討状況では、国立が最もその割合が高く23.3%、公立の3.8%、私立の13.3%よりも圧倒的に高い割合となっている。ただ、それでも学力は試験で測るべきだとの考えは根強かった。一方で、私立は慶応大などでも導入し一般的となっているが、国立とは逆に一般入試を増やしたい割合が最も高くなっている。

 また、「入試問題作成の負荷が大きい」という項目では、国立大が65.0%と最も高く、そのあたりの事情も影響がありそうだ。

 ちなみに、現在、国立大医学部でもAO入試は多く実施されているが、旭川医大、東北大、神戸大、岡山大、広島大、九州大、大分大などがある。

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