中国国家主席の習近平氏の義理の弟、前首相の温家宝氏の息子らが、タックスヘイブン(租税回避地)に会社を設立するなど、2000年以降では、中国政財界の指導者層のタックスヘイブンへ移転した富の総額は、1兆ドル~4兆ドルにも上ることが、各国の報道機関が調査報道を行う機関ICIJの調査で明らかになった。
ICIJは昨年、世界のオフショア、タックスヘイブンに設立された企業を公開するなどしてきたが、今回は中国本土、香港、台湾について調査結果を発表し、中国本土や香港に2万2000人のオフショア顧客がいることがわかった。その中には中国首脳陣の家族が多く含まれている。主なものは次のとおり。
・習近平の義理の弟 不動産会社 BVI 2008年~
・温家宝の息子 金鉱会社 BVI 2006~2008
・温家宝の義理の息子 投資会社 BVI 2004年~
・胡錦濤のいとこ 投資会社 BVI 2002年~
・鄧小平の義理の息子 採掘会社 クック諸島 1994~2006年
主に、投資関連の会社などを英領バージン諸島(BVI)やサモアなどに設立し、富を移転してきた。本格的に行われるようになったのは、2000年以降だと見られるが、現在の中国経済の礎を築いた鄧小平氏が国家主席の時代から、オフショアへの資金移転は始まっていたようだ。
手続きについては、スイス大手金融機関UBS、クレディ・スイスや、会計事務所プライスウォーターハウスクーパースなどが、アレンジメントを行ったとされる。
中国共産党の幹部は、日本の国会議員のような資産開示義務はない。厳密にいえば法律違反でも何でもなく、もちろん、必ず不正が行われているということにはならない。共産党の汚職が横行していることから考えれば、まったくないとは言い切れそうにない。
また、現在、英領バージン諸島の法人設立は、40%以上がアジアからだという。以下は、中国、香港、台湾の法人設立の際に選ぶオフショアの割合となる。
BVI サモア その他
香港 79% 7% 14%
台湾 51% 43% 6%
中国 90% 7% 3%
今後のオフショア開発にあたっては、中国関連の需要が必要不可欠ともされている。