「恵まれていただけ」富裕層に冷たい米国人

 お金を儲けて富裕層になるための要因を「努力」だと感じている米国人は、わずか38%にすぎないことが、ピューリサーチセンターとUSAトゥディの共同調査で明らかになった。さらに、もともとが有利な条件であったとの意見が過半数を占めており、富裕層とそうでない層との間の経済格差が拡大する中で、素直に周囲から歓迎される対象ではない、ということを示している。

 この調査は、無作為に抽出した50州1504人の成人を対象に、1月15~19日の間、電話インタビューを行った。1504人の内訳は、保守系354人、リベラル477人、その他587人となる。

 全体の65%が、富裕層との経済格差はここ10年で拡大したとの認識を持つ。ブッシュ政権時に高所得者や富裕層に減税政策を積極的に進めてきたこともあり、ここでは、保守、リベラルに大きな差はない。ただし、その理由については、考え方に大きな違いが出る。以下は、保守とリベラル別に見た回答割合だ。

◆富裕層が貧者より稼いでいる理由
          全体  保守  リベラル

・努力した     38%  57%  27%
・有利な条件だった 51%  32%  63%

◆経済システムは公平か
          全体  保守  リベラル

・おおむね公平だ  36%  53%  25%
・富裕層に有利だ  60%  42%  75%

 富裕層の儲けが多い理由の「努力した」が、リベラルが27%と低いために、全体で38%となってしまった。そして、税制などの制度や環境がそもそも富裕層に有利であるとの認識を強く持っている。公平性を問うたところで、「おおむね公平」も低い割合となった。

 また、別の調査になるが、昨年、UCバークレー校が発表した調査で、米国の収入の高い方から上位1%の層の2012年の収入が全体の19%を占め、世界大恐慌前年の1928年以来最大の割合となったことが判明している。

 他にも先日、NGOオックスファムが、世界の富裕層上位1%の85人の総資産が、全世界約71億人の下位半分の資産を占めるということも判明している。

 米国は景気拡大局面だけに、今後、新たな富裕層が生まれる可能性も高く、次回以降で調査結果はどのように変化しているのだろうか。

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