独立行政法人「国民生活センター」はこのたび、年々増加している投資マンション詐欺について「婚活サイトなどで知り合った相手から勧誘される投資用マンション販売に注意!!-ハンコを押す相手は信ジラレマスカ?-」と題して、消費者や投資家に対して、注意喚起を行った。この被害増加の背景には、「詐欺師」の進化がある。
同センターによると、相談件数は2013年度はすでに42件で12年度の26件を大幅に上回っており、年々倍増の傾向にある。さらに特筆すべきは、30歳代の女性の相談件数が多くなっている点だ。女性被害が男性を大きく上回る結果となった。また、一人当たりの被害額は平均約3012万円で、通常の消費相談(12年度143万円)よりもはるかに高額となっている。
次のような実例が紹介されている。
◆30代女性 婚活サイトで知り合った男性に「君はマンション投資に向いている」と言われた。後日、男性の職場に源泉徴収票を持参して言った。そこで「節税対策、年金の足しにもなる。家賃保証もあって借り手がいなくても大丈夫」と言われた。融資の手続きを銀行で行ったが、その後は男性とは会えていない。
◆30代男性 婚活パーティーで知り合った女性に、2700万円の賃貸中古マンションを購入。女性を信用して相場価格を調べていなかったが、後日、別の業者に聞くと約1000万円も高く買っていたことが判明した。
◆30代女性 婚活サイトで知り合った男性と数回会い、節税の話に。購入を勧められ、「価格が急に下がることはない」と言われ、購入。デート商法だと気が付かずに、そのうち男性との連絡も途絶えた。売却のために見積もりを取ったた、市場価値の半分程度とわかった。
婚活パーティーや、出会い系サイト、ミクシィなどのSNSなどで相手を物色して接触。
最初はマンションの話をせずに将来の話をする。そして、自分自身のことを、FP、投資コンサルタントなどと自称して、節税、年金代わりなどの話をして契約にまで至る。デート商法だと気づかせないのがキモで、そのため万が一契約してしまっても解約期限を過ぎているという場合がほとんどだ。
同センターの発表には、詳細はないが、こうした手口はM社などの具体的な業者名はすでに知られている。
行き当たりばったりではなく、30代の看護師、アパレルなど平日の休みが多い職業を中心に狙っていることも明らかになっている。これは休日に一人になりやすく、また、マンション購入にあたってローンを組むことができるなど、目的にぴったり合うからだ。
また、営業人員には、容姿と話術に長けた人物があてがわれ、その多くが完全歩合制で「営業」をかけている。そして、自身のことをFPなどと称して、相手の経済状況や家庭状況などを細かく聞き出し、様々な対策を練っている。
元々、話術に長けているため、途中で気がつくのは難しいのだが、マンション購入の話を切り出された時点で、いかに断ることができるかどうか。しかし、事情通によれば、「結婚目的」の2人がそれまで何度も会って、かなり打ち解けており、将来の話までしているため、気が付かない場合も多いのだという。
詐欺師は、常に進化している。