司法修習生の給費制が廃止され、貸与制に移行したのは違憲だとして、新65期弁護士が国を相手に国家賠償請求を求めた訴訟の第1回口頭弁論が29日、東京地裁で行われた。同じ訴訟は各地で行われている。国は争う姿勢を見せている。
修習生は司法試験の合格後に1年間の修習を行う。その際は以前は給与として64年の間、お金が支払われていたが、新65期からは給与ではなく、金を貸すという制度に形に変わった。もちろん、副業はいっさい禁止されている。ちなみに原告団の1人であるA弁護士の生々しい実態を見てみる。
◆原告A弁護士の借金
予備校1年間 100万円
国立大4年間 240万円
司法試験予備校 100万円(3年間)
私立法科大学院 300万円
司法修習生貸与金 300万円
地方の国立大を出たが、その後は上京し1000万円以上の借金を負った。もちろん、その他の生活費などは別だ。準公務員の身分だが、公務員共済組合の保険にも加入できないなど、様々な難点がある。では、貸与制の内訳はどのようなものか。
・連帯保証人を2人集める。集められない場合はオリエントコーポレーションと契約する
・貸与額は月額18万円、25万円、28万円からいずれかを選ぶ
・修習生が終わって5年後から返済を開始し、10年で返済する
日弁連の統計では、修習生85%が貸与を受けている。無利子なのだが、原告A弁護士は1000万円を超える借金を背負っており、また、別の原告B弁護士は合計で1500万円の借金があるそうだ。第6希望まで赴任希望地を選ぶことができるが、遠隔地などに行けば、交通費や家賃などまた、就職活動の交通費も含め様々な費用がかかる。弁護士の低年収化、さらには就職難で返済さえもままならない。そのため、修習生の28%が修習の辞退を考えたというほどだ。ちなみに、貸与金が返済できない場合は自己破産、そうなれば弁護士資格を失うという。