浅田真央、破産危機乗り越えた実家と、姿を消した父

父親とは家に金を運ぶ存在に

 フィギュア関係者は「フィギュアを始めるきっかけは母親が作る家庭がほとんどです。父親がスケート場についていくのも最初のうちだけで、そのうち、母親と子供だけになっていくのです。世界を目指すには、小学生でも1日3時間以上の練習が必要となります。一日中母親は付きっきりということ珍しくありません。父親は段々、お金を家に運ぶだけの存在になっていきます」という。

 父親は家長であるが、主役になってはいけない。お金を家に運ぶ役割を黙ってこなすことができる覚悟があるかどうかが、教育ママと子供を支える力になる。フィギュアに限らず習い事で、実際に、家庭内に不和が起きる例は珍しくはない。

 浅田家の場合はさらに特殊な事情が重なった。実質的に収入を断たれた浅田家の家計は厳しかったのは言うまでもないが、「以前に一部の週刊誌でも出たように、借金も抱えて自己破産寸前だったことを、知っている関係者もいます」と、前出フィギュア関係者もいう。


2005年11月、15歳当時
 真央選手は2005~06年シーズンで、15歳となりGPファイナル制覇。荒川静香選手が金メダルを獲得したトリノ五輪には、年齢制限で出場こそできなかったが、一躍、世界のトップスケーターに。スポンサーも集まり、ようやく経済的に軌道に乗った。キャッシュフローが途絶えれば即終了、そんなギリギリの戦いだったのだ。ここで結果が出なければ、浅田家の挑戦は失敗に終わっていただろう。

 アニメ「巨人の星」の主人公のライバル花形満のように、才能を持ち合わせ、さらに世界的大企業「花形モーターズ」の創業家に生まれるというような奇跡的な要素の組み合わせは、やはり現実の世界には存在しない。

 フィギュアスケートでは世界一の選手層の厚さを誇る日本だが、選手たちの家族の内実は厳しい。すべてを投げ打って挑んだ浅田家のフィギュア挑戦。そこまでしなければ手に入れられない金メダルという大きな壁、ソチの地で「浅田真央」の名が金メダリストとしてとどろくことを、すべての日本人が願っている。

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