大人気スマホゲーム「Flappy Bird(フラッピー・バード)」がアプリストアから削除された。ベトナム人製作者のドン・グエン氏(29)がツイッターで閉鎖を予告していたが、そのとおりとなった。日本のゲーム開発者の平均年収が500万円台という時代に、1日で500万円以上を売り上げ億万長者となったグエン氏。何があったのか。
グエン氏の8日のツイートで、サービス中止が予告された。そして、9日になって実際にサービスが中止されていた。
フラッピー・バードは無料アプリで、収益は広告のみ。昨年リリースされ、すでに5000万件以上もダウンロードされている。そして、グエン氏の個人会社の1日の売上高は、他のアプリも合わせて1日あたり500万円以上。単純計算で月商1億5000万円、年商18億円ということになる。
日本では、社団法人コンピュータエンターテインメント協会の調査によると、ゲーム開発従事者の平均年収は522万円(平均年齢33.64歳)となっている。組織を出て独立しても、大ヒットを飛ばせば、グエン氏のようになることも可能で、平均年収を1日の売上高で追いつくことは不可能ではないということになる。
フラッピー・バードは難易度が高くして、ユーザーの中毒性を高くしている。そのことについてグエン氏は米誌フォーブスの取材に応じ「アプリを難しくしすぎてしまった。それが大きな問題。解決するには閉じるしかないのか」と述べている。
自身は億万長者となり、また、ベトナムの閣僚からも、国内の若者や開発者の意欲を発揚するためにも、グエン氏の所得税に対し特別優遇税を設けてはとうかとの意見も出たほど。その一方で、多くのユーザーを中毒に陥らせているという良心の呵責も出たのだろうか。
また、「眠れない」とも話しており、大ヒットしてお金を儲ける以前のような平穏な生活はできなくなったことも理由だろう。ゼロから低資本で富裕層への道が拓かれている分野でもあるが、猛スピードで手にした莫大なお金は、時に人を苦悩に貶めることもあるようだ。
日本でも個人レベルによる大ヒットアプリも生まれている。
「ぐんまのやぼう」は、群馬県出身のプログラマー、ラッキーゲームズ氏が仲間内2人でリリースし、大ヒットにつながった。また、当時は、灘校生だったTehu氏(現在・慶応大在学中)がリリースした「健康計算機」も無料アプリながら、本人のキャラクターと相まって話題となった。
少し前までは、学生が在学中に起業しアプリ開発を行う場合もあったが、現在では個人レベルではなく法人が主要プレーヤーとなっており、個人で戦うことはなかなか環境的に厳しくなっているようだ。