米の国籍離脱者が過去最高の2999人に、原因は事務負担増?

 IRS(米国歳入庁)の統計によると、昨年2013年の米国籍離脱者は前年の3倍以上の2999人と過去最高になったことがわかった。2012年は932件だった。税負担からの回避という従来からの見方と同時に、税務申告による法的負担を挙げる新たな声もある。

 ここ数年間の国籍離脱者は次の通り。
2007年 470
2008年 231
2009年 742
2010年 1534
2011年 1781
2012年 932
2013年 2999


エデュアルド・サベリン氏
 2013年に主な国籍離脱者と言えば、著名アーティストのティナ・ターナーさん、フェイスブック共同創業者のエドュアルド・サベリン氏の名前が思い浮かぶ。ティナさんは結婚を機にスイスに移住。サベリン氏は、新規株式公開直前にタックスヘイブンのシンガポール籍になり、キャピタルゲイン課税を逃れたとされ、米議会でも問題とされるなど大きな批判を浴びた。

 2008年に出国税が強化されたり、昨年、米国人が国外口座を利用して租税回避することの防止する法、FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が制定されたり、包囲網は広がっている。

 税務が専門の弁護士アンドリュー・マイケル氏は自身のブログに、米内の書類、米国外の書類を提出する負担増や、手続きを怠った際のペナルティー強化を理由に挙げているのだ。

 端的に言うに、面倒な負担が増加したのである。4年間、外国の口座などを提出しない場合は、200万ドルの罰金が科されるという。提出する書類は膨大になる。
 
・海外銀行口座
・海外証券口座
・海外投資信託
・海外生命保険
・海外不動産
・海外信託を通じて保有する資産
・証券口座を通じないで保有する海外企業株式
・海外パートナーシップ持ち分
・海外の人物の贈与や相続の書類
など

 ちなみに、米国では、2008年6月から出国税(内国歳入法)が強化されている。世界中に資産がある富裕層にとっては、手続きの負担も相当なものだろう。

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