国際環境NGOグリーンピースは、高級ブランドの子供服27製品に有害化学物質が含有されているかどうかの調査を行い、16製品から同物質が検出されたと発表した。実に59.2%から検出されたことになる。ファストファッションの製造過程で使用されているものと同種類の有害化学物質が検出されているのだという。
グリーンピースは、今回の調査「ファッショナブルな嘘の物語」(A Little Story About a Fashionable Lie)の前に、今年1月に「クローゼットのなかのモンスターの物語」(A Little Story About the Monsters in Your Closet)で、ファストファッションなど12ブランド82製品で同様の調査を行っており、同様の物質も検出された。
◆今回の調査の対象となったブランド
ディオール
ドルチェ&ガッバーナ
ジョルジオ・アルマーニ
エルメス
ルイヴィトン
マーク・ジェイコブス
トラサルディ
ヴェルサーチ
◆購買した国
イタリア11
フランス4
中国3
香港、ロシア、スイス2
デンマーク、台湾、英国1
◆製造国
イタリア10
中国4
モロッコ3
トルコ2
ハンガリー、インド、タイ1
◆ノニルフェノールエトキシレート(NPE) ルイヴィトンのヴァレリーナシューズから最も多く検出されたり、ディオールのポロシャツ、Tシャツなどからも検出された。
◆フタル酸類(phthalate) ディオールのTシャツ、マーク・ジェイコブスのTシャツから検出。
◆有機フッ素化合物(PFC類) ヴェルサーチのジャケットから顕著に高い値が出た。
◆アンチモン(antimony) D&G、アルマーニのTシャツから検出、ヴェルサーチのジャケットも値が高かった。
これらの化学物質の中には、工場や衣類自体から環境中に排出され、世界中の河川や水路に蓄積され、内分泌系に影響を及ぼし、生体に有害な影響を引き起こす可能性が指摘されている物質もある。
グリーンピース・イタリアのキアラ・キャピオーネ氏は「高級ブランドは、その高級感と品質が命です。この報告書は、高級ブランドが顧客の信頼を裏切っていることを明らかにしています。有害化学物質は高級ファッションだけでなく、すべての人に影響を与えます。製品から有害物質が検出されたブランドは、自社のサプライチェーンから有害化学物質を全廃すると同時に、消費者がブランドの本質を見抜く力があることを認識する必要があります」とした。
ヴァレンチノ、バーバリーなどは2020年までに子供服から、有害物質の排除を目指すことを公表している。