3歳女児IQ160でアインシュタイン超え、遺伝か環境か

 ◆ジェンセンの「環境閾値説」
 まず、1970年代に発表されたジェンセンの「環境閾値説」は現在においても、一定の影響力を保持している。

 基本的には遺伝が優位であるとの立場を取っており、そこに、環境の質がある一定水準を超えると遺伝的な素質が開花するというのである。

 遺伝がなければどうにもならないが、しかし、ふさわしい環境もなければ、素質は花開くことはない、ということだ。ジェンセンの研究は社会的な反響もあり、人種論などと結びつけて議論されることもあったが、生物に遺伝子から解放されることはなく、「遺伝と環境」が揃って、その人間が決定されるということだ。

 ◆富裕層たちは遺伝性が高いが、貧困層では環境が大事
 米ミネソタ大のトマス・ボーチャード、ナンシー・シーガル両博士による、双子の研究で判明。幼いころに引き離されたが、大人になって再会すると、そっくりなクセを持っていることがわかった。

 別々に育った一卵性双生児は、いっしょに育った二卵性双生児よりも、高い類似性が示されており、育った家庭環境などの影響力よりも、遺伝によるものだとの結論に達している。

 米WSJによれば、ボーチャード、シーガルの両博士の研究は、IQの遺伝は、貧困層か、中間層に当てはまるとしている。バージニア大のエリック・タークハイマー氏の研究チームは、最も貧困な環境にある家庭ではIQの遺伝度が下がり、共有する家庭環境から影響を受ける度合いが60%に上がったことを実証した。

 ◆富裕層家庭と生活保護家庭
 昨年11月に、東京地裁で判決が下された1件の民事事件がある。片や中卒で工場勤務、一方は家庭教師がついて勉強し大学に進学するという学習環境の入れ替わるという騒動が、60年前の病院の乳児取り違えで起きていたのだ。

 これは、貧富の差が大きすぎて修学環境が違いすぎるため、環境の大切さを再認識させられる案件でもあった。

 それでも、本来は富裕層の家庭に生まれたが生活保護家庭で育った男性は、工場勤務をしながら向学意欲を持ち続け定時制高校で学ぶなど、記者会見では品の良さを感じさせるなど、「遺伝」的な要素も感じさせた。

 以上のように見てきたが、過去の研究では遺伝が優勢であるが、人種問題など社会的な問題とされ、遺伝は言論として弱い立場にあった。ただし、環境が整わなければ、遺伝的要素はムダになるということか。結局は、ジェンセンの研究に立ち上ることになるということか?

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