ソチ五輪で男女のフィギュアスケートが終わり、結果はメダルこそ羽生結弦選手(19)=早大=1人だったが、個人では6人中5人が入賞を果たし、フィギュア王国の地位を保った。その強化の役割を担う日本スケート連盟だが、浅田真央選手(23)=中京大=に続き、羽生選手という新しいスターを得て、今後も潤沢な資金を増やしていきそう。真央選手の引退を考えれば、強化や普及に支出をしなければ王国が一気にしぼんでしまう可能性すらある。
平成24事業年度(24年7月1~25年6月30日)の正味財産は約13億5500万円。事業キャッシュフローは約3億3300万円ある。
これが19事業年度では、正味財産は7億円だった。5年で実に約2倍に増えているのだ。
日本スケート連盟は平成18年には、不正会計が発覚し、背任容疑で会長だった長久永勝一郎氏が警視庁に逮捕されるという不祥事もあった。公式HP上には、元会長らが関わっていない19事業年度以降のものとなっているが、しかし、連盟は明らかに浅田真央選手の成長とともに、大きくなっている。
連盟には、選手の競技やそれ以外の収入に対して一定の割合でお金が入るようになっている。つまり、選手が儲けるほど連盟も儲かるのだ。規定によると、次のようになる。
・競技会の賞金の10%
・肖像権や契約料の10%
・個人スポンサー契約料10%
・講演・出演料の10%
(旅費・謝礼などは全額個人へ)
浅田選手はバンクーバー五輪があった2010年(平成21事業年度に相当)には、浅田選手のCM契約本数は10本を超えた。1本あたり契約料は5000万円以上とされ、この年は10億円近いともされる。
2011年以降もコンスタントにCM契約はあり、年収は少なくとも3億円以上と見られる。
現在では、女子アスリートとしては現役最高の1本7000万円という報道もあったが、本当に
引退するならば、アイスダンス、普及活動、タレント活動などで、年収は再び10億円を超えることになるだろう。
連盟にはさらに潤沢なキャッシュフローが生まれる。さらに、羽生選手が金メダルを獲得したことで、今後はスケート外の活動も多くなり、連盟への収益が増えることは確実視される。
ここでは、特に連盟批判をすることが目的ではない。ただし、資金は必要だが貯めこみすぎてもいけない。フィギュアを普及、強化育成に潤沢な資産があるうちにさらに取り組んだ方が良い。