太陽光発電が再生可能エネルギー固定価格買い取り制度に支えられて、法人、個人ともに盛んだ。その中で中国の事業者がいることはあまり知られていない。
中国の電力会社・上海電力が昨年から日本で人材募集を始め、東京都内にオフィスを開いた。その前に周到に、日本全国で4カ所の事業用地を確保していたのだ。
福島県西郷村
長野県佐久市
大分県宇佐市
静岡県富士宮市
2011年3月に東日本大震災が発生。それに伴って、東京電力福島第一原発事故も発生した。原発から20キロ圏内が警戒区域に指定されるなどした。その直後のことだった。
ある日本人社長に、中国人実業家が福島や東北の土地探しをしている、と相談をしてきたのだという。放射能汚染の可能性が十分ある中で、「それでもいいのか」と問いただしたところ、「むしろ汚染されている方がいい」と答えたのだそうだ。
また地元、福島の報道関係者も「よく知る不動産会社から聞いた話だが、中国人から東北の土地が欲しいという申し出があったらしい。まったく信じられなかった」という。
結局、二つの話ともに商談にはならなかったそうだ。土地の用途については詳しく話してくれなかったらしく、目的もはっきりはしない。ただし、時期的には、核廃棄物の中間処理施設用地など日本政府による買取を見越した投資か、あるいは太陽光発電などの再生エネルギーの事業、電力自由化を見越した投資か、と考えられないこともない。
先読みする力というか、商才というか関心せずにはいられないが、いずれにせよ、中国の投資家たちが、不動産取得に動いていたことだけは間違いない。
さて、その上海電力だが創立は1882年と古く、世界でも3番目に古い老舗電力会社でもある。太陽光発電を皮切りに、そして将来の電力料金自由化までをにらんでの参入ということだろうか。
現在、経産省の認可を受けた事業電力キロW数は、2453万キロW。そのうち発電を開始しているのは566万キロWにすぎない。太陽光発電事業の認可を受けても、始めない業者が問題視され、ようやく、認可取り消しを検討するようになった。
問題は外国人の不動産取得にまで行き着くだろうか。こちらの、見直し策は聞こえてこない。