オーディション会場は掃除の「おじさん」だけ
東京都内のある会場。写真選考を通過した子供たちが集められた。オーディションがこれから行われようとしているにも関わらず、そんな雰囲気もなく、ただ、パイプ椅子が雑然と並んでいるだけだ。
会場にいるのは子供たち以外には、片づけをする中年のおじさん1人だけ。子供たちは、ジャニー氏の到着を待った。
携帯ゲームに興じる者、ふざけ合う者、足を前のイスに投げ出す者など各人各様に過ごした。そして定刻から30分が経過し、おじさんが子供たちにジュースを配り始めた。
その時、一人の子供が「ねぁ、ジャニーさんはまだ来ないの? オーディションは何時に始まるの?」と、おじさんに質問した。
すると、おじさんは「オーディションは終わった」と一言。さらに、驚き呆気に取られる子供たちに、止めをさした。
「ジャニーは僕だ」。
何と、この「おじさん」こそが、稀代のアーティストメーカー、ジャニー氏だったのである。これは、小菅氏がジャニー氏から実際に聞いた光景であり、おそらく、結果は全員が不合格だったのではないだろうか。
では、なぜ、こんなオーディションをしなければならないのか。
「カワイイというだけでは取らないんですよ。ウソをついたり、見栄をはったり、繕うのが一番嫌うんです。つまり、そういう子は生理的に受け付けないのでしょう。性格を見るためには、素の姿を見るのが一番だからです」
つまり、性格的には、裏表がない素直な良い子で、しかも常識がなければならない、ということがよくわかるエピソードである。もちろん、常にこうした形式のオーディションばかりではないだろうし、現在では顔バレもしていることから、身分を偽ることも難しいかもしれない。普通に躍らせてオーディションらしく終わることもあるという。
では、その前の段階にあたる書類選考はどうなっているのだろうか。